スケボー×カフェ「トラブル、偏見なくしたい」 浜北の土木工事会社社長、敷地に施設オープン

 浜松市浜北区の土木工事会社「大村組」が今夏、同社敷地にスケートボードができる「OMG.B.CAFE(オーエムジーカフェ)」を開設した。国内ではまだ作るのが難しいとされるおわん形のコンクリート製ボウルを備えるのが特徴だ。日本人スケーターがメダルを量産した東京五輪から約1年がたち、スケボーに興味を持つ若者は増えるが、施設は不足する。カフェに携わる人たちは「スケーターと地域住民が交流できる場にしたい」と語る。

コンクリート製ボウルの滑り心地を確かめる大村幸治さん。「スケボーをする人としない人が交流を深める場にしたい」=8月上旬、浜松市浜北区のオーエムジーカフェ(魚眼レンズ使用)
コンクリート製ボウルの滑り心地を確かめる大村幸治さん。「スケボーをする人としない人が交流を深める場にしたい」=8月上旬、浜松市浜北区のオーエムジーカフェ(魚眼レンズ使用)

 夏休みの8月上旬。昼下がりの同カフェには、小学生から仕事の休憩中という大人までがかき氷を食べ、飲み物を味わっていた。友人と自転車で訪れた高校3年宮野翔瑠(かける)さん(18)は「自宅近くで滑れて最高。トリック(技)を決められるようたくさん練習したい」と汗をぬぐいながら話した。
 社長の大村幸治さん(43)は10代で横乗り系スポーツのサーフィンを始め、波乗り感覚で滑れるボウルを2014年、趣味が同じ社員とともに試作。注目を浴び、スケートボードパークの設計、施工を請け負うようになった。「手探りで始めた事業だから失敗も多かった」と苦笑いで振り返る。通常の土木作業とは異なる工法で湾曲を形成する。約500万円の機械が用途に合わず、買い直した。
 パーク造りの仕事に慣れてきたころ、五輪効果でスケートボードを始めた若者らが滑走禁止の場で滑り、トラブルにつながる事例に胸を痛めた。区内で飲食店を営む酒井幸代さん(43)と相談し、カフェ開設を思いついた。スケートをする人もしない人も楽しめる場をつくろう―。
 7月にオープンすると、他県の女性スケーターから涼を求める地元高齢者までが訪れた。酒井さんは「いろんな人が仲良くしているのを見るのが好き」と果肉入りかき氷やわらび餅ドリンクを提供。大村さんは「交流が深まれば、スケーターは地域で認められることを考えるようになり、スケートをしない人も偏見を持たなくなるはず」と期待する。

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