「重大事態の意識欠如」 浜松市教委、いじめ被害女性に謝罪

 浜松市の女性(18)が市立中学在籍時にいじめを受け、当時の学校や市教委の対応が不適切だったと再調査委員会に指摘された問題で、担任や校長、現在の市教委幹部ら10人が23日、市役所で女性と両親に対面し、謝罪した。女性は「いじめを早く見つけて、周りがすぐ助けてあげる学校をつくってほしい」と再発防止への強い願いを改めて訴えた。

いじめ被害を訴えてきた女性(手前中央)と両親に謝罪する宮崎正教育長(奥中央)ら=23日午後、浜松市役所
いじめ被害を訴えてきた女性(手前中央)と両親に謝罪する宮崎正教育長(奥中央)ら=23日午後、浜松市役所

 現在の市教委幹部3人は報道機関に公開した場で謝罪した。宮崎正教育長は「長い間つらい思いをさせてしまった。心よりおわびする」と述べ、いじめの防止や早期発見、対応の体制構築を誓った。
 当時の担任ら7人の謝罪は非公開で行い、各自用意した謝罪文を読み上げた。「気持ちに寄り添った対応ができなかった。(女性は)悪くない」「重大事態として扱う意識に欠けていた。自分の力不足を猛省している」などとわびたという。
 取材に応じた女性の両親は「娘は長い間、ずっと自分が悪いと思い込んできたが、そうではないと認められ、ずいぶんと変わってきた。再発防止策が形になれば救いになる」と語った。
 一方、教員に当時の経緯や加害生徒への指導状況を尋ねても「覚えていない」といった回答に終始したことから、「言葉だけの謝罪に思えた。いまだに市教委の対応は遅く、不信感が大きい」と不満もあらわにした。
 同席した女性の支援者は「学校が加害者を別室で指導する」「警察と連携し対応する」「学校の隠蔽(いんぺい)や不作為を刑事告発する仕組みを作る」などの内容を市教委の再発防止策に盛り込むよう求めたとし、「今後も達成状況を確認していく」と強調した。
 女性は心に傷を負って現在も通院中。謝罪は女性の自己肯定感の回復に必要だとして家族が要望していた。
 (浜松総局・宮坂武司)

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