ぼくの心 切り絵で表現、絵本に 自閉症の湖西・安田さん自費出版

 湖西市南台に住む自閉症の安田幸大さん(24)が、得意の切り絵と自身の言葉で日常を表現した絵本「ぼくのきもち」を自費出版した。「自閉症で発する言葉が少ない人が、本当はどんなことを考えているのか、周りの人に知ってもらいたい」。両親が長年抱いてきた思いから絵本が生まれた。

自身の切り絵と言葉で日常を表現した絵本「ぼくのきもち」を紹介する安田幸大さん=7月下旬、湖西市南台
自身の切り絵と言葉で日常を表現した絵本「ぼくのきもち」を紹介する安田幸大さん=7月下旬、湖西市南台
絵本を開くと、色彩豊かな切り絵とユニークな言葉が並ぶ
絵本を開くと、色彩豊かな切り絵とユニークな言葉が並ぶ
自身の切り絵と言葉で日常を表現した絵本「ぼくのきもち」を紹介する安田幸大さん=7月下旬、湖西市南台
絵本を開くと、色彩豊かな切り絵とユニークな言葉が並ぶ

 3歳で自閉症と診断され、知的障害がある安田さんは幼少期、同年代の子よりも発語や言葉の習得が遅かった。両親の彰男さん(65)、智子さん(58)はコミュニケーションの難しさに直面する傍ら、安田さんもいら立ったり混乱したりすることがよくあったという。
 智子さんは悩みながらも、安田さんが時々口にする言葉を注意深く聞き取った。「心の内が分かり、うれしかった」。8歳の頃から印象的な言葉をメモ帳に書き留め、12歳になるまで続けた。
 一方、はさみで紙の切り貼りを楽しむようになったのは、6歳になったあたりから。切り絵は市内の就労継続支援事業所で働くようになった今も続けていて、3時間ほど部屋にこもって創作に没頭することもある。作品を収録したカレンダーの出版や、作品の展示会も毎年行っている。
 絵本の原作は浜名特別支援学校の高等部1年の時に手がけた。智子さんが書きためた当時のメモを基に、言葉に合う場面を切り絵で表現した。智子さんと彰男さんは今回、「幸大から見た世界を通じ、少しでも自閉症の人の内面に触れてほしい」との思いで出版することにした。
 絵本を開くと、豊かな感情や独創的な思考が広がる。「ぼくは夏がいいなぁ~‼夏をおいかけよ‼」という言葉は、青空の下で勢いよく駆ける自分の姿で表現。「おかあさんにしかられた。おかあさんはカイジュウです」という文には、怪獣の姿になって怒る智子さんの絵を添えた。安田さんは「楽しく見てほしいな」と紹介する。
 A4サイズで28ページ。税込み1500円。購入の申し込み、問い合わせは彰男さん<電090(4465)3589>へ。

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