記者コラム「清流」 読書感想文という「苦行」

 夏も終わりが近づき、小学生の頃の読書感想文を思い出す。課題図書を読み通して考えを整理し、原稿用紙3枚に清書する作業は子どもにとっては重労働。母の全面的サポートの下、絞り出した感想を半泣きで書き上げた「苦行」の記憶が鮮明によみがえる。
 長泉町井上靖文学館は昨夏から感想文の書き方講座を開講している。「書き方を知らないまま取り組んで本が嫌いになる子を減らしたい」と学芸員の徳山加陽さん。対話しながら要素を抽出し、順番を整理してから書き始めた子どもたちは、迷いなく筆を進めていく。あの頃、講座があれば苦しまずに済んだのに-。
 読書感想文はなくなったが、大人になった今はコラムに四苦八苦している。「私の原稿も添削してください」と、つい頼りたくなった。

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