越水の浜松・矢矧橋 「基準水位」設定されず 避難情報の発令判断の目安

 2日の大雨で馬込川の越水が起きた浜松市浜北区の矢矧橋水位観測所は、避難情報の発令判断の目安となる基準水位が設定されていなかった。馬込川下流にある新橋、松江の両観測所は市内でも特に水位上昇が頻繁で、基準水位が設定されている。矢矧橋周辺はこれまで浸水被害が比較的少なかったとされるが、被害を受けて近隣住民から対策の強化を求める声が上がった。

急増水する馬込川 浜松市浜北区の矢矧橋付近に設置された監視カメラの画像(浜松市のホームページから) 2日午後1時20分ごろ
急増水する馬込川 浜松市浜北区の矢矧橋付近に設置された監視カメラの画像(浜松市のホームページから) 2日午後1時20分ごろ

 基準水位は「氾濫危険水位」など警戒レベルの段階に直結する目安。今回の大雨で、矢矧橋周辺は正午からのわずか1時間で最高水位に達した。市がカメラ映像で越水の危険を判断し、レベル5「緊急安全確保」を発令したのは午後1時15分だった。
 水位の急上昇について、市は「あまり経験のない量の雨が局所的に降った」との見方を示すが、矢矧橋付近はすぐ上流に二つの河川の合流部があり水量が増しやすい地形でもある。ポンプで排水作業に当たった地元水防団の野本剛良班長(49)は「二つの満杯の川が合流したことで越水につながったのでは」と指摘し、中川康裕分団長(43)は「近年、この地域でも急な水位上昇が増えていると感じる。対策が必要で、今回の越水箇所を報告して河川の強化に生かしたい」と話した。

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