サンフロント21懇話会 伊豆地区分科会「持続可能な観光地」討論

 5日開かれた静岡新聞社・静岡放送の「サンフロント21懇話会」伊豆地区分科会は、作家で本紙夕刊小説「頼朝 陰の如く、雷霆の如し」作者の秋山香乃氏の講演に続き、「ウィズコロナ時代の持続可能な観光地」をテーマにパネル討論を行った。秋山氏のほか、宿泊予約事業の「ゆこゆこホールディングス」(東京都)の徳田和嘉子社長、日本大国際関係学部の矢嶋敏朗准教授、伊豆の国市観光協会の稲村浩宣会長が登壇し、誘客策や伊豆観光の魅力を語った。

持続可能な観光地のあり方について議論したパネル討論=伊豆の国市内(東部総局・山川侑哉)
持続可能な観光地のあり方について議論したパネル討論=伊豆の国市内(東部総局・山川侑哉)
伊豆と源頼朝のエピソードを紹介する秋山氏(東部総局・山川侑哉)
伊豆と源頼朝のエピソードを紹介する秋山氏(東部総局・山川侑哉)
持続可能な観光地のあり方について議論したパネル討論=伊豆の国市内(東部総局・山川侑哉)
伊豆と源頼朝のエピソードを紹介する秋山氏(東部総局・山川侑哉)


 秋山氏は歴史資源だけで人を呼び込むことの難しさを指摘し、「温泉など魅力的な要素を持たせた観光をPRしてはどうか」と提案した。徳田氏は主に退職したアクティブシニア層に向けた事業内容を紹介。全国の観光地と比較して伊豆半島はさまざまな資源に恵まれていると説明し「住民が『自分のまちが好き』という地域は観光客が来る。地域を知っている住民主導でないと誘客は成功しない」と述べた。
 矢嶋氏は伊豆の国市をフィールドに学生と研究に取り組んでいる。住民らへの聞き取り結果を受け、「観光は人づくりが大切。ボーダーレスで広域観光を考える必要がある」と指摘した。稲村氏は地元ゆかりの大河ドラマ事業に触れ、「当初から市内を周遊してもらう施策を考えた。関連史跡を巡る観光客が増え、市民の地域愛が醸成されている」と語った。企業経営研究所理事長で同懇話会TESS研究員の中山勝氏が進行役を務めた。
 (大仁支局・小沢佑太郎)

 ■頼朝に人間味感じる 夕刊小説の秋山香乃氏講演要旨
 源頼朝は心地よい伊豆に育まれて武将になった。歴史資料には真偽不明のものもあるが、頼朝の人間味を感じられるエピソードがある。戦に出た頼朝を心配する北条政子の心情は、現代の人でも理解しやすいのではないか。
 歴史作家が集まる会を立ち上げた。地域と歴史のコラボを考えていて、本の制作や講演などを行っている。子どもたちが歴史に触れる機会を設けるため、私たちが学校に出向いてイベントを開催しても面白い。
 今はコロナ禍で外国人観光客は多くないが、今後に向けて動画を制作して発信してはどうか。着物姿の人が多く散策している京都のように、伊豆ではよろいを着て街歩きをしても良いだろう。

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