「人に頼っていい」育児通じ変化実感【金子綾さん 自分らしいスタイル㊦】

 カジュアルなアイテムを使いながら品のあるスタイリングが人気を集め、近年はブランドとのコラボレーションでも活躍する浜松市出身のスタイリスト金子綾さん(43)。「完璧主義で何でも自分でやりたくなる」性分だったが、子育てをする中で「人に頼ってもいいと思うようになった」と変化を感じているという。仕事と家庭への向き合い方を聞いた。

「家族に対して自分ができることに集中し、愛情を伝えられたら」と話す金子綾さん=都内
「家族に対して自分ができることに集中し、愛情を伝えられたら」と話す金子綾さん=都内

 

ひと月に300体


 スタイリストになるきっかけは、大学生の時、ファッション誌「CanCam」の読者モデルをしていたいとこの撮影に付いて行ったこと。編集者から、スタイリストになるよう勧められました。なぜそう言っていただけたのか分かりませんが、子どもの頃から、コンサバな服装を好んだ母と当時浜松市にあった西武百貨店に買い物に行っていたので、ファッションは好きでした。
 興味本位でライターの手伝いを始め、次第に特集を任されるように。同誌で押切もえさんや蛯原友里さん、山田優さんらが人気を博していた時代です。本格的にスタイリストとして仕事をするようになってからは1カ月に300体、約60ページ分のコーディネートを考えました。「綾さんが考えたコーディネートが人気です」と言われるのがやりがいになっています。
 

「皆で育てる」 


 結婚し、8年前に長女を出産。娘が7カ月の時に保育施設に預け、仕事を再開しました。私自身は専業主婦の母に育てられたので、迷いがなかったと言えばうそになります。でも、季節の楽しみ方を覚えたり、親以外との交流を娘が楽しんだりしていると分かり「皆に育ててもらおう」と切り替えることができました。
 ほぼ全て私がしていた家事は、仕事とのバランスを考え3年ほど前から夫と分担しています。夫が作る夕飯が、その日に自分が食べたいものではないこともあります(笑)。とはいえ、立場が変わると「彼もそういう日があっただろう」と想像できました。私は、家事をして感謝されるとうれしかったので、今は夫に「ありがとう!」と言うように心がけています。家族こそ思いやりが大切なのだと思います。
 

新しい暮らし 


 昨年生まれた次女に対しては母乳育児を早々にやめて、夫と長女に授乳に参加してもらうようにしました。今は子どもたちの生活を第一に、打ち合わせの時間などを配慮してもらうことが増えました。“新しい暮らし”ができつつあると実感しています。
 SNSなどで、働きながら子育てをしている方から相談が寄せられます。私は仕事が楽しくて、全力で取り組みたい。その分、子どもたちの帰宅後の時間を大切にしたり、最近得意だと気付いた弁当作りに手間を惜しまないようにしようと試行錯誤しています。
 (文化生活部・鈴木明芽が担当しました)

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