教育文化部 鈴木明芽
すずき・はるが 静岡市出身。東京外国語大卒。2007年に入社し、東部総局、磐田支局、社会部、文化生活部を経て、教育文化部。出産を機に手芸を楽しんでいます。
-
清水南高「演劇専攻」スタート SPAC連携、実技指導に力 新入生、5月の野外フェスタ出演
静岡市清水区の清水南高芸術科に本年度、県内で初めてとなる演劇専攻が開設された。県舞台芸術センター(SPAC)と連携した教育によって表現力を向上させ、世界で活躍できる人材を育成する。新入生8人は早速5月3~6日、葵区の駿府城公園で開かれる「ふじのくに野外芸術フェスタ2024静岡」で、SPACの新作「白狐伝[びゃっこでん]」に合わせてパフォーマンスを披露する。 同校は1986年に芸術科を設置し、音楽、美術を専門的に学ぶ環境を整備。演劇教育の導入は、県教育振興基本計画(2018~21年度)や県立高第3次長期計画(18~28年度)で、技芸を磨くための実学を充実させる新学科設置研究の一環として位置
-
ふじのくに⇄せかい演劇祭、27日開幕 安部公房代表戯曲など通し稽古 静岡市でSPAC
国内外の舞台芸術作品を紹介する静岡県舞台芸術センター(SPAC)の「ふじのくに⇄せかい演劇祭2024」が27日に開幕するのを前に、26日、各作品の通し稽古が静岡市駿河区の舞台芸術公園などで行われた。 SPACと鳥取市を拠点にする劇団「鳥の劇場」の共同作「友達」の出演者やスタッフは同公園内の野外劇場で、実際の開演時間に合わせて最終確認をした。同作は今年生誕100年の作家安部公房の代表戯曲で、「鳥の劇場」の中島諒人芸術監督が演出した。中島芸術監督は「人間が生きるためには集団が必要な一方で自由を求めるという葛藤は、現代社会に通じる。二つの劇団の素晴らしい俳優の個性を引き出せるよう心がけた」と話し
-
静岡人インタビュー「この人」 SPAC作品に携わる劇作家 石神夏希さん(静岡市葵区)
地域やまちを舞台にした演劇を多く手がける。静岡市の「まちは劇場」事業に加え、2022年から県舞台芸術センター(SPAC)の作品に携わる。27日からの「ふじのくに⇄せかい演劇祭」では、観客が舞台芸術公園周辺を巡って鑑賞する「かちかち山の台所」を披露する。東京都生まれ、43歳。 ―演劇との関わりは。 「小学生の時に演劇を見て、10代で友人と作った劇団を続けている。劇場に足を運ばない人と出会いたいという気持ちが高まり、まちに滞在してリサーチを重ね、そこで暮らす人と作品をつくるスタイルに軸足を移した。人々の思いやエネルギーが土地の価値を高めると実感し、演劇がその循環に好影響をもたらす可能性も感じ
-
静岡市舞台に映画、市民巻き込み 監督山本起也さん、故郷で製作「地域見つめ直す機会に」
静岡市出身の映画監督山本起也[たつや]さん(58)が、地元静岡で映画の製作を進めている。これまで市井の人の暮らしを追ったドキュメンタリーや過疎化する地域を舞台にした劇映画を手がけてきた。「地域を見つめ直し、それぞれの生活を豊かにするきっかけに」と、市民を巻き込みながら準備している。 熊本県天草市で撮影し、2021年に公開した「のさりの島」では、構想段階から約5年間現地に通って地元住民との関係を築いた。公開後に自主上映会やロケ地を巡るスタンプラリー、観光ツアーなど住民主体の取り組みが拡大。「狙ってできるものではないが、映画製作が、人口減少が問題となっている地域のコミュニティーを再び接着させ
-
「匠宿」25周年セレモニー 藤枝の八木さん親子に記念品「子どもと楽しめる」 静岡・駿河区
静岡市は16日、同市駿河区の伝統工芸体験施設「駿府の工房 匠(たくみ)宿」で、前身の「駿府匠宿」開館から25周年を記念したセレモニーを開いた。 この日最初の来館者となった藤枝市の八木聖乃さん(36)、彩音ちゃん(3)親子に、駿河竹千筋細工の手提げかごが贈られた。八木さんは普段から工芸体験やカフェの利用で訪れているといい、「おしゃれで、開かれていて、子どもと一緒に楽しめる」と話した。 「駿府匠宿」は地場産業のPRを目的に1999年に開館。2021年に建築設計業「創造舎」が指定管理者となり、「駿府の工房 匠宿」としてリニューアルした。染め物や竹細工、木工指物、陶芸などの体験ができるほか、地元
-
若手職人育む「匠宿」の挑戦 静岡の伝統工芸体験施設 寮整備で働きながら修業
静岡市駿河区の伝統工芸体験施設「駿府の工房 匠宿」で、職人育成に向けた取り組みが進んでいる。2021年のリニューアル時から指定管理を担う建築設計業「創造舎」(葵区)が、生活を整えながら技術習得や創作に打ち込める環境整備に力を入れている。 施設はリニューアル後の工芸体験者数の目標が年間約2万人だったのに対し、3万人近くが訪れるようになった。全体的な来館者数も安定し「子どもたちが職人に憧れを抱いた時に道を示せるようにしたい」と杉山浩太館長(39)。染めや木工、漆などの職人が常駐し、工芸品を活用した飲食や物販の施設を併設する特性のほか、展覧会共催などで築いた関連団体との連携態勢が、職人育成の補
-
静岡のご当地Vチューバー集結! トークや音楽披露でファンと交流
静岡のご当地バーチャルユーチューバー(Vチューバー)によるファン交流イベント「アザリー」が7日、静岡市葵区のユピテル静岡研究所で開かれた。約70人が集まり、うちわやペンライトを振りながら大画面を通したやりとりを楽しんだ。 ITソフト開発「ユピテルプラス」の「バーチャル広報社員」として活動する「葵わさび」と静岡新聞社・静岡放送公認の「木乃華(このはな)サクヤ」のほか、浜松市を拠点とする「調月音葉(つかつきおとは)」がゲスト出演。普段、動画投稿サイトなどで共演している3人が、トークやゲームを繰り広げたり、最新の音楽やミュージックビデオを披露したりした。 イベントは昨年に続き2回目。会場には出
-
「チーム担任制」静岡市内2小学校で本年度試行 多様な視点、教員の負担軽減にも
静岡市内の小学校で、学級担任を固定せず、複数の教員が学級内での児童の指導や事務的作業を担う「チーム担任制」の試行が始まっている。市教委は本年度、竜南、東源台の2校を研究校に指定。多様な視点で対応することで、子供の良さや変化に気付く機会を増やすだけでなく、教員の負担軽減にもつなげる。 チーム担任制は多面的な情報収集ができるほか、教員それぞれの得意分野を生かした仕事ができ教育活動の質の向上や負担の分散も期待される。子供や保護者側には話しやすい先生を見つけられるといった利点があり、全国で拡大。県内でも私立中・高を中心に取り組みが進められている。 静岡市内では昨年度、城北小が独自に試行した。興
-
折り紙と向き合い40年… 職人技の折り鶴、アクセサリーに 自閉症・杉江さんの特技、就労支援施設が商品化
4月2日は国連が定める「世界自閉症啓発デー」。7歳の時に自閉症と診断された静岡市葵区の杉江孝之さん(57)は、40年以上折り鶴を作り続けている。その数80万羽に上る。杉江さんが通う就労支援施設「ラポール川原」(駿河区)が制作スピードと完成度を〝職人技〟と捉え、折り鶴をアクセサリーに加工し販売を始めた。 杉江さんは中学生の時、家庭教師の大学生から心身安定のために、と教えてもらって鶴を折るようになった。1日に100羽以上完成させることも。そのため母五十鈴さん(80)が千羽鶴にして各所に届けたり、家族で大きな紙に1羽ずつ並べて貼って絵画に仕上げ、展覧会に出品したりしていた。 長らく通う「ラポー
-
世界で活躍する演劇人に 高校生16人静岡でSPACアカデミー修了式
静岡県舞台芸術センター(SPAC)は24日、高校生を対象にした1年制の演劇塾「SPAC演劇アカデミー」の成果発表会と修了式を静岡市駿河区の静岡芸術劇場で開いた。演劇に必要なトレーニングと教養の習得に励んだ3期生16人が巣立った。 受講生は保護者らを前に、受講期間に繰り返し取り組んだトレーニングと三島由紀夫の戯曲「卒塔婆小町」を披露。1年を振り返り「より演劇が好きになり、夢に自信が持てるようになった」「仲間がいたから格好悪い自分と向き合えた」などと語った。 校長を務める宮城聰芸術総監督は「今、他者との出会いで成長するという希望が持てず、人々の体は閉じた状態にある。一方で、皆さんは活動を通じ
-
福岡でウズラ卵窒息事故 静岡県内、提供中止や注意喚起
福岡県の小学1年生の児童が給食を喉に詰まらせて死亡した事故を受け、静岡県内の学校給食でも、原因になったとみられるウズラの卵の使用を控えるなどの影響が広がっている。 文部科学省は2月末、指導手引書を改めて確認し、事故防止を徹底するよう都道府県教育委員会などに通知。これを受けて県教委も市町教委に文書で指導を求めた。 静岡市や長泉町などは当面の間、公立小中学校でウズラの卵の提供を休止した。静岡市はカットしていないミニトマトの提供も取りやめた。いずれの自治体も状況を見ながら対応を検討していくという。 浜松市や沼津市は、食材を適当な大きさに切ってよくかんで食べることや早食いをしないといったポイン
-
SPAC、GWに静岡で国内外5作品上演 ふじのくに⇄せかい演劇祭2024の概要発表
静岡県舞台芸術センター(SPAC)は15日、静岡市内でゴールデンウイークに開催する「ふじのくに⇄せかい演劇祭2024」の上演作に関する発表会を同市駿河区の静岡芸術劇場で開いた。4月27日~5月6日に国内外の5作品を届ける。 SPACと鳥取市の劇団「鳥の劇場」との共同作品となる安部公房作「友達」のほか、SPACの拠点の一つである舞台芸術公園(静岡市駿河区)周辺を散策しながら演劇を楽しむ「かちかち山の台所」、ドイツの演出家トーマス・オスターマイアーさん率いる劇場「シャウビューネ」によるアントン・チェーホフ作「かもめ」など。同時開催する「ふじのくに野外芸術フェスタ2024静岡」では、駿府城公園(
-
現代音楽×現代詩 「思わぬツボを刺激」 作曲家・坂東祐大、20日静岡で公演
ドラマや映画の音楽のほか、米津玄師らJ―POPのアレンジなどで活躍する作曲家坂東祐大と「しずおか連詩の会」に3回参加した詩人文月悠光によるコンサート「音楽と詩と声の現場2024」が20日、静岡市駿河区のグランシップで開かれる。坂東は「現代音楽と現代詩が組み合わさった時、思わぬツボが刺激されるような圧倒的な体験をしてほしい」と自信をのぞかせる。 坂東は2歳でピアノを始め、小学4年生の時、周囲の勧めで作曲家の道に進んだ。道を究める一方、「音楽は『癒やし』という存在だけど、『本当にそれでいい?』と問いたくなる」と空間やデザイン、パフォーマンスと組み合わせた表現を模索する。詩人谷川俊太郎からさまざ
-
大学共通テスト2025年再編 科目変更、時間延長…「年間で計画的な学習を」
多くの大学の入試で利用される大学入学共通テストは2025年から、教科に「情報」が加わるほか、科目変更や試験時間の延長などがあり、様変わりする。静岡、愛知を中心に展開する佐鳴予備校の静岡駅前校(静岡市葵区)高等部で指導する三木喜裕教室長は、志望校の受験に必要な科目と配点を確認した上で「年間で計画的に学習を進める必要がある」と指摘する。 教科・科目の再編は、22年度に新学習指導要領が実施されたことに伴う措置。これまでの6教科30科目から7教科21科目に変わる。いずれもグラフや資料を多用し、学習知識を実用的に使いこなす力が試される。 大学入試センターによると、共通テストの受験者は少子化などに
-
「駿河の雛」伝統と技術紹介 市内メーカー8社 匠宿で展覧会 静岡市駿河区
静岡市駿河区の伝統工芸体験施設「駿府の工房 匠宿」で1日、静岡の伝統産業であるひな人形とひな具の歴史や製造技術を紹介する展覧会「日本の節句 駿河の雛(ひな)展」が始まった。4月7日まで。 市内のメーカー8社が、専門技術を用いた作品を展示。人形のほか、びょうぶや台、金具などの装飾に至るまで、木工や蒔絵(まきえ)といったさまざまな職人の技を結集して作られている様子を見ることができる。 静岡雛具人形協同組合の望月篤理事長は「職人の高い技術はもちろん、各社が現代の暮らしに合わせて工夫していることも知ってほしい」と話した。 (教育文化部・鈴木明芽)
-
高校生の留学機運再燃 2024年度から静岡県教委が支援拡充
昨年5月に新型コロナウイルスの感染症法の位置付けが5類に移行し留学機運が高まる中、静岡県教委などは2024年度から高校生の留学支援を拡充する。産学官連携組織を立ち上げ多彩なプログラムを用意。円安により負担が増す留学費用を補助し、グローバル人材の育成に力を入れる。 文部科学省の隔年調査では、高校在学中に留学した生徒は17年度に全国で4万6千人を超え過去最多に。コロナ禍で急減したが、5類移行を経てこれまで以上に増加するとみられる。文科省の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」の広報担当者によると、昨年大使館などが主催した留学説明会の来場者数は最高水準になった。「親世代は、学生時代に
-
富士山静岡交響楽団、リハ一般公開 音づくりの舞台裏をファンも間近で
富士山静岡交響楽団は、第123回定期演奏会のリハーサルを一般公開した。プロオーケストラがゲネプロを公開することはあるが、3日間の全体練習のうち細かな調整を行う2日目の様子を市民が見る機会はほとんどない。指揮者と楽員のコミュニケーションを基に曲を組み立てていく“舞台裏”を音楽ファンが楽しんだ。 曲目はアントン・ブルックナー作曲「交響曲第8番」。首席指揮者を務める高関健さんがピンマイクを付け、楽員との会話や息遣いまでも会場と共有した。高関さんがブルックナーの創作過程にも言及しながら、最終の第4楽章をメインにパート間のバランス、クライマックスに向けての音量調整を繰り返した
-
静岡県内通信制高 高まる需要 通学型、自宅学習型… 多様な学び「社会の要請」 学業以外で能力発揮も
不登校の児童・生徒が増えていることなどを背景に、静岡県内で通信制高校の需要が高まっている。柔軟な教育環境により、学業以外で力を発揮する生徒もいる。 通信制高校は、自宅学習を中心としたリポート提出や面接、テストなどで74単位以上を修得すれば卒業できる。県教委などによると2023年度に公立の静岡中央、県が認可した私立狭域通信制のキラリに通う生徒総数は2642人(23年5月1日時点)、5年間で約400人増えた。2校のほかに全国展開するN高など他県認可の私立広域通信制の参入も相次いでいて、こうした学校を含めて中学卒業後に6%ほどが通信制に進んでいる。 「さあ、エクセルを開いて」「分からない人いる
-
サックス奏者・須川展也 デビュー40周年 故郷浜松に音で恩返し
浜松市出身のサックス奏者須川展也がことし、デビュー40周年を迎える。演奏技術への評価はもちろん、名だたる作曲家による委嘱作品は世界中に広がり、サックス界をリードしている。「浜松の充実した音楽的環境によって今の自分がある。音で恩返ししたい」。3月にアクトシティ浜松(同市中央区)で記念コンサートを開くのを前に、故郷への思いを語った。 サックスとの出合いは中学校の音楽の授業。ビゼーの「アルルの女」を鑑賞した時、「天から降ってくるような美しく透明な音色」に心を奪われた。浜松北高への進学を条件に父親にサックスを買ってもらい、学業の傍ら、東京へレッスンに通って専門性を高めた。 東京芸術大に進むと、
-
焼津に生まれ、家は魚屋。日本一を目指す サスエ前田魚店5代目(焼津市)/前田尚毅【あのころの私⑦】
焼津市で60年以上続く「サスエ前田魚店」の5代目として生まれた前田尚毅さん(49)は、独自に身に付けた技術と知識で、地元での小売りが中心だった店を国内外の一流料理人が買い付けに来る全国区へと押し上げた。駿河湾で取れる魚の価値を広めることで漁師らの士気を高め、地域に好循環を生み出そうとする取り組みの原点には、中学、高校のやんちゃだった頃に目をかけてくれた人たちへの恩返しの思いがあるという。 この時期になると高校受験を思い出します。元々中学を卒業して魚屋になればいいと考えていたので、勉強をしていませんでした。それでも高校には行くことになり、笑い話として「名前を書けば受かる」と言われていた高校