オープンキャンパス対面再開 魅力発信へあの手この手、保護者同伴に制限も 静岡県内大学

 志望校を決める上で参考になるオープンキャンパス。新型コロナウイルス下にオンラインを活用して実施した静岡県内の大学も、今年はコロナ前とほぼ同規模に戻し、対面開催する。これまでは夏休みに行うのが一般的だったが、近年は入試の多様化に伴って期間を広げて複数回行う大学も。学生が案内役を務めてキャンパスライフをイメージしやすくするなど、各大学はさまざまに工夫し魅力を発信している。

オープンキャンパスの模擬授業に参加する受験生ら。新型コロナ禍によるさまざまな制限がなくなり、熱心に耳を傾ける保護者の姿もあった=6月上旬、静岡市駿河区の常葉大静岡草薙キャンパス
オープンキャンパスの模擬授業に参加する受験生ら。新型コロナ禍によるさまざまな制限がなくなり、熱心に耳を傾ける保護者の姿もあった=6月上旬、静岡市駿河区の常葉大静岡草薙キャンパス

 静岡県立大は8月、4年ぶりに実地開催する。入試室の和久田好秀室長は「実際に訪れて、自然豊かな地で落ち着いて学べることを知ってもらえる」と期待する。7~8月に開催の静岡大も全ての学部が対面形式に戻るが、学部説明などはウェブ上に動画を掲出する。全学入試センターの雨森聡准教授は「暑い時期に説明に時間をかけるのはもったいない。研究室の見学や、教員や在学生とのコミュニケーションに時間を使ってほしい」と話す。
 静岡文化芸術大は8月、事前申し込みと人数制限をなくす。模擬授業だけでなく、学生独自の取り組みやサークル活動の展示・発表などで大学の個性を幅広くPRする。
 常葉大は静岡、浜松両市の4キャンパスでこれまで7~8月に計4回程度行っていたが、期間を5~11月に広げ計9回行う。6月上旬に静岡草薙キャンパスで行われたオープンキャンパスは、志望校が未定の高校1~3年生を対象にしたプログラムを用意。そろいのポロシャツを着た在学生が、参加者を案内した。「この時期は大学生や大学生活への憧れを持ってほしい」と入学センターの望月祥正課長。参加した焼津市の女子高校生(17)は「授業や施設の充実度、在学生の様子など学校全体の雰囲気を知りたい」と校内を巡った。
 志望理由書や面接が選考に大きく関わる総合型選抜や学校推薦型選抜の拡大によって、キャンパスを自分の目で確かめたいという受験生のニーズは高まっている。静岡産業大など、オープンキャンパスへの参加を総合型選抜の出願条件にしている大学も少なくない。
 ほとんどの大学は地域に開かれ、オープンキャンパス以外でも自由に構内に入ることができる。大学の入試担当者らは「授業期間の方が学生の自然な姿が見られる」として、平日の来校も勧めている。

 保護者同伴増、制限も
 近年、オープンキャンパスに子どもと共に参加する保護者が増えている。保護者への発信に努める大学がある一方、「あくまで受験生向け」と理解を求める声も聞こえてくる。
 静岡産業大藤枝キャンパスで6月に行われたオープンキャンパスは、参加者の半数を保護者が占めたという。同大は保護者向けの説明会など、子どもと一緒に大学生活へのイメージを深められるようなプログラムを用意する。常葉大は「最近は教育内容を知りたいという保護者が多い」として、模擬授業への参加を歓迎する。
 浜松医科大はかつて、付き添い者が多く受験生が講義室に入れなかったことがあり、参加は受験生本人に限っている。県立大も4年ぶりの実地開催となる今年を「転換期」として、一部の学部で保護者の参加を不可とする方針。静岡大は制限しないものの、定員があるため「意欲のある受験生が参加できるように考えてほしい」と呼びかける。その上で「子どもが参加している間に、大学周辺の生活環境や下宿先などを調べてみては」と提案する。

 

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