記者コラム「清流」 尊い交流の時間

 先日祖母が亡くなり、後を追うように祖父も旅立った。祭壇に二つ並んだ遺影を見て、長く会いに来なかったことを悔やんだ。
 体調が芳しくないと聞いた頃、静岡市駿河区池田のNPO法人と美容師らが、地元の高齢者施設の入居者にヘアメークをし、写真をプレゼントするという取り組みを取材した。同地区で起業した同い年の2人が、地域貢献として企画したものだ。初めは遠慮がちだった人もメークをしてもらうと表情が明るくなり、孫世代の美容師に自分の人生や趣味を楽しそうに話す姿が印象的だった。
 新型コロナウイルス禍が続く中、人と交流することがこんなにも尊いものだったのかと改めて痛感した。祖父母にもこんな時間をつくってあげたかった。

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