「とびだせ!長谷川義史展」 7月1日から佐野美術館 平和な世で「好き」を諦めず

 絵本作家長谷川義史さんの原画など約220点を紹介する「とびだせ!長谷川義史展」が7月1日、三島市の佐野美術館で開幕する。大胆な筆致のユーモアあふれる絵と、“浪速っ子”ならではの笑いあり涙ありのストーリーは多くの人を引きつけている。大阪市のギャラリー兼アトリエ「空色画房」を訪ね、創作への思いを語ってもらった。

「おおにしせんせい」原画 2019年 講談社(C)長谷川義史
「おおにしせんせい」原画 2019年 講談社(C)長谷川義史
「とびだせ! えほん」撮影中に描いたスケッチ「静岡」2013年 ※富士宮市立人穴小学校を訪れた際のスケッチ(C)長谷川義史
「とびだせ! えほん」撮影中に描いたスケッチ「静岡」2013年 ※富士宮市立人穴小学校を訪れた際のスケッチ(C)長谷川義史
「スモウマン」原画 2002年 文:中川ひろたか 講談社(C)長谷川義史
「スモウマン」原画 2002年 文:中川ひろたか 講談社(C)長谷川義史
「へいわってすてきだね」未採用原画 2014年(C)長谷川義史
「へいわってすてきだね」未採用原画 2014年(C)長谷川義史
「いいからいいから5」原画 2018年 絵本館(C)長谷川義史
「いいからいいから5」原画 2018年 絵本館(C)長谷川義史
「おおにしせんせい」原画 2019年 講談社(C)長谷川義史
「とびだせ! えほん」撮影中に描いたスケッチ「静岡」2013年 ※富士宮市立人穴小学校を訪れた際のスケッチ(C)長谷川義史
「スモウマン」原画 2002年 文:中川ひろたか 講談社(C)長谷川義史
「へいわってすてきだね」未採用原画 2014年(C)長谷川義史
「いいからいいから5」原画 2018年 絵本館(C)長谷川義史


 小さい頃から絵を描くのが好きで、小学1年生の時には漠然と将来絵を描く仕事ができたら楽しいだろうなと考えていました。アニメのキャラクターを描けば周りから「うまいなー」と言われて、何度か地域の絵画展で賞ももらって。「自分は絵がうまい子なんや」と認識していました。
 そんな僕を変えたのが、絵本にもした小学5、6年生の時の担任だった「おおにしせんせい」。最初に、幼児が使うような太い筆とパレットの代わりとなる白い下敷き、大きなバケツを渡されました。自分が得意としていた写実的な絵は全く評価してくれません。一方で、見たもの、感じたものから得た思いが表れている絵はたくさん褒めてくれました。
 大人になって先生に再会し、「自主的に考えられる子に」との考えがあったことを知りました。生き方に通じると思うのです。計算してもその通りの結果にならないし、先を考えすぎると実際はそんなに恐れる必要のないことなのに前に進めなくなる。先生の図画工作の授業から、「思ったように生きなさい」というメッセージを受け取りました。
  photo03 創作への思いを語る長谷川義史さん=大阪市の「空色画房」
 それから、好きなことを諦めずにしつこく続けてきた結果、今があります。20年ほど前から各地で行っている「絵本ライブ」では、子どもたちに「好きなこと、得意なこと、周りが喜んでくれることを大切にして」と話します。そのためには、世の中が平和でなくてはいけません。自分と他の人は違うけれど、暴力や争いなど嫌なことは同じです。他の人のことを想像して、嫌な行為はやめようという気持ちを育む力が、絵本にはあると信じています。
 僕は絵は「一期一会」だと思って、手描きしています。筆の入り、絵の具の重なりやにじみ。印刷物では分からない生っぽさ。原画は生きた証しみたいで、僕は好きです。
 (聞き手=教育文化部・鈴木明芽)
 

■会期 7月1日~8月27日。木曜休館(8月17日は開館)
■会場 佐野美術館(三島市中田町1の43)<電055(975)7278>
■開館 午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
■観覧料 一般・大学生1100円(6月30日までの前売り800円)、小・中・高校生550円(同400円)。毎週土曜は小・中学生無料
<主催>佐野美術館、三島市、三島市教育委員会、静岡新聞社・静岡放送
<協賛>伊豆箱根鉄道  <協力>空色画房  <企画制作>毎日放送

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