白井貴子の「FLOWER POWER」、アナログ盤で11月発売 焼津で製造

 1980年代に「ロックの女王」と呼ばれたシンガー・ソングライター白井貴子が11月1日、85年に発表したアルバム「FLOWER POWER」をアナログ盤で発売する。9月上旬、焼津市のソニー・ミュージックソリューションズ大井川プロダクションセンターを訪れ、レコードの製造工程を見学した。

アナログ盤で発売するアルバム「FLOWER POWER」
アナログ盤で発売するアルバム「FLOWER POWER」
レコードの製造工程を見学する白井貴子=焼津市のソニー・ミュージックソリューションズ大井川プロダクションセンター
レコードの製造工程を見学する白井貴子=焼津市のソニー・ミュージックソリューションズ大井川プロダクションセンター
アナログ盤で発売するアルバム「FLOWER POWER」
レコードの製造工程を見学する白井貴子=焼津市のソニー・ミュージックソリューションズ大井川プロダクションセンター

「英知に感謝」白井さん、製造工程を見学  同所は69年にレコードの生産を開始したが、CDの普及に伴って89年に量産を終了。2018年に再開し、24時間体制で稼働している。年々プレス機を増やし、24年には現在の倍量の生産体制が整うという。
 白井が同所を訪ねるのは2回目。初めて訪れた08年は、廃CDをリサイクルする様子を見て回った。「当時、CDから作られたボールペンをもらい、何となく『あぁ、CDの時代も終わるのか』と肩を落として帰った。まさか、CDより前のレコードで音楽を届けることになるとは」と感慨を込めた。
 「音楽配信サービスが主流になってから、『形』にこだわる必要はないと自分に言い聞かせてきた」。プレス機に材料をセットする作業やノイズチェック、最終確認、袋詰めなどが人の手で行われていることを知り、出来上がったばかりのレコードを手にしたとたん「涙が出そう」。「知らない所でたくさんの人が音楽を作ってくれていたのだとリアルに感じた。一つの物に音をとどめる人々の英知は素晴らしい」と感謝を口にした。
 沼津市立浮島中の「浮島のうた」の作曲を手がけたほか、約25年前に購入した南伊豆町の土地を「マーガレットグラウンド」と名付け、キャンプを通じた環境保全イベントを毎年開催するなど、本県とのつながりが深い。「自然やアナログを大切にした生活を意識していたら、静岡にたどり着いたという感じ。レコードが作られている場所も静岡だなんて、とてもうれしい」と話した。
 レコードで発売するのは自身5枚目にして、バンド「THE CRAZY BOYS」を従えてリリースした初のアルバム。シチズンの腕時計「リビエール」のCMでヒットした「Chance!」をはじめ、自ら作詞作曲した全10曲を収録。税込み4070円。来年1月にはアルバム完全再現ライブを横浜市の「KT Zepp Yokohama」で行う。
レコードの人気再燃
 デジタル配信で音楽を楽しむスタイルが確立した一方、近年レコードの人気が高まっている。アナログな音色やジャケットデザインだけでなく、レコードを交換したり針を落としたりする手間までも、若い世代を引き付けている。
 日本レコード協会によると、ピークの1976年に約2億枚が生産されていたが、2009年には10万枚に落ち込んだ。しかし近年人気が再燃し、22年には210万枚を超えた。人気アーティストが新曲やアルバムをレコードでも発売している。
 国内では、ソニーミュージックグループが東京都と焼津市の拠点でレコードを自社生産するほか、東洋化成が横浜市で製造している。 (教育文化部・鈴木明芽)

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