静岡人インタビュー「この人」 SPAC作品に携わる劇作家 石神夏希さん(静岡市葵区)

 地域やまちを舞台にした演劇を多く手がける。静岡市の「まちは劇場」事業に加え、2022年から県舞台芸術センター(SPAC)の作品に携わる。27日からの「ふじのくに⇄せかい演劇祭」では、観客が舞台芸術公園周辺を巡って鑑賞する「かちかち山の台所」を披露する。東京都生まれ、43歳。

石神夏希さん
石神夏希さん

 ―演劇との関わりは。
 「小学生の時に演劇を見て、10代で友人と作った劇団を続けている。劇場に足を運ばない人と出会いたいという気持ちが高まり、まちに滞在してリサーチを重ね、そこで暮らす人と作品をつくるスタイルに軸足を移した。人々の思いやエネルギーが土地の価値を高めると実感し、演劇がその循環に好影響をもたらす可能性も感じる」
 ―地域やまちを舞台にした作品の意図は。
 「プロセスも作品の一部として開示する『アートプロジェクト』という考え方に影響を受け、参加型の演劇を手がけてきた。一人一人が自分のいる場所と出会い直し、関係性を結び直すきっかけになれば」
 ―静岡での活動は。
 「社会に閉塞(へいそく)感が漂い、若者の自殺率が高まっているのが気になっている。そんな中、公的な劇場や演劇という選択肢が静岡にあることに安心する。この環境を維持できるよう努力したい。20年に静岡に移住してから子供が生まれ、子育てが創作に生かされることがある」
 ―「かちかち山―」の見どころを。
 「大まかな内容は誰もが知っているが、時代によって少しずつ変化している。物語の舞台と舞台芸術公園周辺の自然環境を重ね、土地の魅力を再認識する機会にしてほしい」
 (教育文化部・鈴木明芽)

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