自分らしい一枚残して 高齢者にヘアメーク、撮影 静岡のNPOや美容師ら

 静岡市駿河区池田を拠点とするNPO法人と美容師らが、地元の高齢者施設で、入居者にヘアメークを施し、記念写真をプレゼントする取り組みを行っている。その名も「『らしい』お写真プロジェクト」。メンバーは「(新型コロナウイルス禍で)他者との交流が減っている今こそ、会話を楽しみながら自分らしい一枚を残してほしい」と思いを込める。

メーク後に鏡を見て喜ぶ女性
メーク後に鏡を見て喜ぶ女性
お気に入りの帽子をかぶり、ポーズをとる男性
お気に入りの帽子をかぶり、ポーズをとる男性
美容師から写真を受け取る入居者=いずれも静岡市駿河区池田
美容師から写真を受け取る入居者=いずれも静岡市駿河区池田
メーク後に鏡を見て喜ぶ女性
お気に入りの帽子をかぶり、ポーズをとる男性
美容師から写真を受け取る入居者=いずれも静岡市駿河区池田

 困り事支援サービスなどを行うNPO法人「ここらしさ」の理事長で、市内で介護事業を展開する本田弘哉さん(38)と美容院を経営する大野国武さん(38)が、共に20代に池田地区で起業したことから地域貢献活動として企画。大野さんの店のスタッフのほか、趣旨に賛同したネイリストや学生らが、昨年からボランティアとして活動を始めた。
 9月、本田さんが運営に関わる施設「しんあいホームてぐみ」で活動が行われた。入居者6人が順にヘアメークやマッサージをしてもらい、近くの公園で撮影に臨んだ。“変身”した姿に驚きの声をあげる人、メンバーに自分の人生や趣味を語る人-。岩田清子さん(92)は「いつもは自分で眉を整える程度。人に化粧をしてもらって外に出る機会はなく、夢みたいな時間」と顔をほころばせた。他方、撮影を担当した静岡大4年の籠谷遥さん(23)も「技術はまだまだだが、『楽しい』の一言に尽きる」と充実した表情を見せた。
 本田さんは「イベント後も、写真を見せ合うなど人との交流が増え、食欲が増す方もいる。その方の個性が表れた写真は家族にも喜ばれる」と実感を込める。コロナ下とあって池田地区の限られた施設で行ってきたが、今後は広く市内の高齢者施設や病院にも呼びかけ、希望があれば出向くという。

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