「地元パン」甲斐みのりさん新著 のっぽパンなども掲載

 旅や菓子、建築、雑貨などを題材に執筆活動を行う富士宮市出身の文筆家甲斐みのりさんが、新著「日本全国 地元パン」(エクスナレッジ)を出版した。全国各地で出合った500個以上のパンの成り立ちや味わい、レトロなパッケージデザインの魅力を伝えている。

「日本全国 地元パン」
「日本全国 地元パン」
富士製パンの「ようかんぱん」など県内で愛されてきたパンも掲載されている
富士製パンの「ようかんぱん」など県内で愛されてきたパンも掲載されている
「日本全国 地元パン」
富士製パンの「ようかんぱん」など県内で愛されてきたパンも掲載されている

 元々、地域に根付く菓子を求めて旅していた甲斐さん。かつてパンも販売していたという店が多いことに気づき、パンと菓子の関係を調べてみると、戦後の学校給食制度開始時にパン作りに参入する菓子店が多かったことなどが分かったという。「地域性や時代、店主の個性など、パンにはたくさんの物語が詰まっている」。研究を続け、主に1940~50年代までに創業した店が作り、素材や形、名前、パッケージに地域性や時代が反映されたパンを「地元パン」と名付け、商標登録した。
 著書では、バンデロール(沼津市)の「のっぽパン」や清水屋パン店(松崎町)の「ジャムソボロパン」といった「帰省時や旅するさなかで味わいながら、懐かしい記憶までもかみしめる」(甲斐さん)という“県勢”も多数紹介。「流通が限られていた近年まで、朝作られたパンは翌朝までに食べるのが当たり前だったので、地域の味として守られてきた。ぜひその土地、その店を自分の足で訪れて、その土地で食べてほしい」と話す。
 A5変形判、244ページ。1870円。甲斐さんは1~3月、静岡新聞コラム「窓辺」を担当した。

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