就職見据え職業観養う 新聞記事読み込み表現力強化 静岡北特別支援学校南の丘分校

 NIE実践指定校の県立静岡北特別支援学校南の丘分校(静岡市駿河区)は、授業のほか、朝や帰りの時間などさまざまな場面で新聞記事を活用している。大半の生徒が卒業後に地元企業などに就職するため、地域の課題を学んで職業観を養ったり、自己表現の方法を身に付けたりするのに役立てている。

(上)社会人像について話し合う生徒ら
(上)社会人像について話し合う生徒ら
(下)キーワードを探し、ワークシートで内容を整理する生徒=5月中旬、静岡市駿河区の県立静岡北特別支援学校南の丘分校
(下)キーワードを探し、ワークシートで内容を整理する生徒=5月中旬、静岡市駿河区の県立静岡北特別支援学校南の丘分校
(上)社会人像について話し合う生徒ら
(下)キーワードを探し、ワークシートで内容を整理する生徒=5月中旬、静岡市駿河区の県立静岡北特別支援学校南の丘分校

 5月中旬の朝、一つの記事の内容を整理し自分の意見をまとめる「NIEチャレンジ」が3年生の教室で行われた。この日は、バス通学する高校生が、2人のバス運転手の振る舞いの違いについて書いた本紙読者投稿欄「ひろば」の投書が題材。生徒は記事を読んで解答をワークシートに記入した後、目標とする社会人像を話し合った。
 山影凌雅さん(17)は「仕事にやりがいを持っている人とそうでない人がいると分かった。自分はやりがいを感じられる仕事をしたい」と感想を述べ、「世界で起きていることも身近な話題も、他の人の考えも分かるのは面白い」と新聞の魅力を語った。
 同校の生徒は軽度の知的障害を抱える。昨年から新聞活用を進めてきた鈴木雅義教諭は「生徒は自ら情報にアクセスするのが難しいので、新聞を読む場を増やすことは意義がある。新聞を開けば気付きが生まれ、世界が広がる」と期待する。
 扱う記事の内容は、地域で活躍する人や性教育、生活の知恵、スポーツ、株価など幅広い。必ず教員が複数回音読し、キーワードに線を引かせる。ワークシートは本紙のシートを作り替えて、記事中の言葉を抜き出すものから自分の考えをつづる設問へと導き、生徒の理解をサポートする工夫をしている。
 定期的に行うアンケートで、最初は日常生活で新聞に親しむ機会が少ないという生徒が目立ったが、最近は廊下に置かれている複数の新聞に目を通す姿も見られるようになったという。鈴木教諭は「情報が生徒自身の助けになることを知ってほしい」と話す。

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