里山保全次世代にバトン 静岡・有度山で活動「遊森民」

 約30年前から静岡市駿河区の有度山で里山保全活動を行う団体「遊森民(ゆうしんみん)」の世代交代が進み始めた。自然遊びを目的とした親子サークルとの出会いをきっかけに今春、同サークルの保護者にリーダーが引き継がれた。

中川さん(奥)の助言を受けて、放置された茶畑を整備する山田さん(手前右)と池田さん(同左)=静岡市駿河区
中川さん(奥)の助言を受けて、放置された茶畑を整備する山田さん(手前右)と池田さん(同左)=静岡市駿河区


「美しい自然子供たちへ」 親子サークルに継承  「遊森民」は有度山の県有地に廃棄物の投棄が相次いだことを契機に、竹林の整備や希少植物の保護などに取り組んできた。メンバーは70、80代が中心の約20人。団体を率いてきた中川昌昭さん(80)=同区=は「里山保全は山が荒れないよう、明確な変化が見えない程度に人の手を入れる活動。メンバーの動機づけが難しく、後継者が見つけにくい」と話す。
 10年ほど前、未就園児の親子でつくるサークル「森っこぷらす」が遊森民が整備する場所を訪れるようになり、転機が訪れた。遊森民の活動を親子が見学したり、一緒に石や木を運んだり。月1回はサークルを“卒業”した小学生らも集まって合同で草刈りや山道の整備を行うようになった。
 今年1月、合同新年会の場で中川さんがサークルの山田信行さん(44)=同市清水区=に次期リーダーを打診したところ、快諾を得た。「子供たちが山でのびのびと過ごすのを見てきた。『この山を守りたいか』と問われれば『その通り』との答えしかない」と山田さん。子供がサークルに所属していた池田信義さん(53)=同=も仲間入りした。「職場ではSDGs(持続可能な開発目標)という言葉をよく聞く。子供たちが自然に親しむこと、そうした場を大人が守っていくことこそSDGsなのだと思う」と実感を込める。
 現在、中川さんが2人に作業のノウハウを伝えている。中川さんは「里山の風景を後世に残していってほしい」と期待した。
 (教育文化部・鈴木明芽)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞