電子端末使用ルール、生徒自ら策定 面談、使用禁止の罰則も 静岡大付属静岡中 

 国の「GIGAスクール構想」により子どもたちが1人1台持つようになった電子端末。使用に当たっては公立小中学校では基本的に市町ごと管理されているが、静岡市葵区の静岡大付属静岡中は生徒がルールを定めた。端末を利用したより良い学校生活を目指し、1年かけて作り上げた。

学校生活の必需品となった電子端末。有効利用するために生徒が使用ルールを決めた=4月中旬、静岡市葵区の静岡大付属静岡中
学校生活の必需品となった電子端末。有効利用するために生徒が使用ルールを決めた=4月中旬、静岡市葵区の静岡大付属静岡中


 同校では昨年、全校生徒に「iPad」が配布された。市立小中学校で使われている「クロームブック」は市教委が一括して有害サイトへのアクセスを制限する「フィルタリング」をかけるなどしている一方、iPadは基本的に学校ごとに管理する。同校は当初フィルタリングなどをしていなかったため、授業中に授業とは関係ないサイトを見ていたり、休み時間にゲームをしたりする生徒がいたという。その状況に、入学したばかりの1年生からは「中学校の姿ではない」と声が上がった。
 「授業で端末を使うメリットは大きい。先生から指示されるのではなく、使う立場の自分たちで考えてデメリットを抑制していくべきだと思った」。こう話すのは、ルール作りに関わった生活係長の渡辺綾美さん(3年)。渡辺さんら各クラスの生活係が昨年7月から週1回、話し合いを重ねた。
 個々のサイトやゲームの種類などは線引きが難しいため、「他人に迷惑をかける行為かどうか」を基準にした。教員が有害事象につながる恐れのある検索ワードを監視することを前提に、「次の授業に遅れないよう時間を確認」「授業中は学習に必要な時のみ使用」「放課後は原則禁止。使う場合は担任の許可を得る」といった時間ごとの決まりを作った。
 さらに全校生徒にアンケートを実施して、罰則も設けることに。生活係に4回注意されると先生と面談、5回目に休み時間の使用禁止、6回目は先生から保護者へ連絡―とし、試行期間を経て、本年度から運用を始めた。生徒指導を担当する菊野慎太郎教諭は「大人の立場として『おかしい』と思うことは伝え、生徒に判断を任せた。それぞれが納得できる形を模索していた」と生徒の様子を振り返る。
 これまでに4回以上の注意を受けた生徒はいないという。渡辺さんは「自分たちで作ったルールだから守ろうという意識が感じられる」と実感を込め、「いずれは罰則をなくしていけたら」と言葉に力を込めた。


 理想の学校 日常的に議論
 静岡大付属静岡中は服装をはじめ、生徒が守るべき校則がない。電子端末の使用ルールに限らず、生徒がさまざまな問題を議論し、理想の学校生活を追求している。
 特長の一つが、放課後に開かれる「総会」。全校生徒が集まり、生徒会の活動や行事の基本方針について質疑応答を繰り返す。最近は体育祭での服装などについて連日、話し合われた。
 生田目治善校長は、「近年、指示を待つ子どもが増えていると感じる。良い意味で大人の思い通りにならず、大人を超えていく生徒を育てたい」と話した。

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