記者コラム「清流」 生かされなかった反省

 牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」で、3歳女児が送迎バスの中に約5時間にわたって放置され、熱射病で死亡する痛ましい事件が起きた。車内からは女児の空の水筒が見つかったという。胸が締め付けられる。
 6人の子どもを乗せて園に到着したバス。なぜ名簿と照らし合わせて全員の降車を確認しなかったのか。なぜバスの施錠前に車内を見回らなかったのか、なぜクラス担当職員は女児の不在に気付き、保護者に連絡を取らなかったのか-。「なぜ」の言葉ばかりが浮かぶが、それだけ通常では考えにくい基本のミスが重なった事件なのだと思う。
 昨年7月に福岡県で発生した同様の園児の死亡事件の後、共有されたはずの「念には念を」の考え。反省が生かされなかったことがとても残念だ。

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