記者コラム「清流」 「ぜんざい公社」

 「ぜんざい公社」という落語がある。主人公がぜんざいを食べようと、「公社」を訪れると、部署をたらい回しにされ、何度も書類に押印させられる―という筋書きだ。
 法務局へ登記簿を取りに行った際にふと、この落語を思い出した。受け付けは機械なのに、出てきた受付票を手に一度、証紙の購入窓口で料金を支払う。そして申請窓口で証紙を書類に貼って提出。ようやく登記簿を手にできる。法務局もオンライン申請を拡充しているが、デジタル化が叫ばれる中、窓口での二度手間はどこか解せない。
 冒頭の落語のオチは、味のしないぜんざいに主人公が怒ると、担当者は「甘い汁はこちらで吸っています」と一言。手続きの簡略化が進まないのは、“甘い汁”が原因ではないと信じたい。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞