断水続く清水区の介護施設 節水と衛生管理に細心、久々入浴も

 台風15号の影響で断水が続く静岡市清水区の介護施設で、限られた水をどう使い、衛生管理と両立させるかが課題となっている。一部施設では入浴支援がスタート。元通りの生活も見据えつつ、高齢者のケアにあたる。

断水中の介護施設で久しぶりに浴槽に湯が張られた=28日午後、静岡市清水区の「えいむの丘」(写真部・田中秀樹)
断水中の介護施設で久しぶりに浴槽に湯が張られた=28日午後、静岡市清水区の「えいむの丘」(写真部・田中秀樹)

 「皆、久々のお風呂にうれしそうでした」。同区北矢部の複合介護施設「えいむの丘」。温かな湯気に満ちた浴室で、入浴介助をした女性職員が目を細めた。2800世帯が断水する「富士見ケ丘ブロック」。看護小規模多機能型居宅介護、グループホーム、訪問看護ステーションを展開する同施設では、訪問入浴介護のアサヒサンクリーン(同市葵区)の支援で29日までに高齢者6人を風呂に入れ、髪や体を洗うことができた。
 施設で断水が始まったのは25日朝。先に自宅が断水した職員から連絡を受け、鍋などに水をためた後、出なくなった。管理者の田中千愛さんは「生活用水はもって2日分。危機的状況だった」と振り返る。入浴を清拭(せいしき)に、洗濯は外部利用に切り替えた。皿やコップを紙製にし、わんにラップを敷いて汁物を入れた。
 「利用者の体調悪化を一番心配していた」と田中さん。水の使用を抑える工夫をする半面、ホットタオルを作ったり、排せつ後の洗浄に従来通りの量の湯を使ったりと、節水しない作業を見極めた。新型コロナウイルス禍による入念な消毒が奏功したが、水を使って手を洗えないことが職員のストレスになっている。このブロックでは30日から充水作業が始まる見通しで、可能になり次第、残る高齢者の入浴を行う。

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