水中ドローンに可能性「漁業の需要 着目」 清水町の物流会社、スクール開校

 物流業などの万福(清水町、石田太輔社長)が、静岡県内でも珍しい水中ドローンのスクール事業を展開している。港湾施設や船の点検作業などで全国的にも水中ドローンの活用拡大が期待される中、石田さんは「空のドローンと違い、撮影や調査を請け負う民間の事業者が少なく未開拓。海に囲まれた伊豆半島では漁業分野を中心に潜在的な需要が大きいと考えた」と狙いを語る。

水中ドローンで撮影された西浦の海中のサンゴ(万福提供)
水中ドローンで撮影された西浦の海中のサンゴ(万福提供)
水中ドローンを使ったサンゴの撮影に訪れた元生徒の寺田光広さん(手前)と石田太輔さん=9月上旬、沼津市西浦平沢
水中ドローンを使ったサンゴの撮影に訪れた元生徒の寺田光広さん(手前)と石田太輔さん=9月上旬、沼津市西浦平沢
水中ドローンで撮影された西浦の海中のサンゴ(万福提供)
水中ドローンを使ったサンゴの撮影に訪れた元生徒の寺田光広さん(手前)と石田太輔さん=9月上旬、沼津市西浦平沢


 3月に水中ドローンによる調査・点検事業と同時にスクールを始めた。きっかけは昨冬、石田さんが空中ドローンの講習会に行った際に知った水中ドローンの存在。「伊豆地域では水産事業者の高齢化も進んでいる。船底や養殖用の網の点検などに活用が広がれば労働力不足の緩和につながるのではないかと水中ドローンの可能性を感じた」と振り返る。
 講習は午前から夕方までの1日で行う。関係法令や安全管理の仕方といった座学と、実際にプールなどで操縦方法などを学ぶ実技の両方をスケジュールに組み込む。約半年で新たなビジネスとしての開拓を狙う個人事業主や学生など40人ほどが受講した。点検などでの活用が見込まれる建設業の社員の受講も増えているという。
 9月上旬には元生徒の寺田光広さん(59)が石田さんとともに沼津市西浦平沢で海中のサンゴを撮影した。清掃などを行う「便利屋」として新たに海中への落とし物の調査や釣り場の探索などの水中事業も始めた寺田さんは「水族館の水槽の内側から見た景色など、これまでにない映像を届けられる。水との関係が深い地域なので、仕事の幅が増えると考えた」と話す。
 万福への水中調査などの依頼はまだ少ない。石田さんは「どのように活用できるのか十分に知られていないと感じる。駿河湾の海中清掃といった活動も検討していて、こんな風にも使えるということを広めていきたい」と話した。

 水中ドローン 「スラスター」と呼ばれる推進装置、カメラやライトなどを備え、陸上や船上から水中の様子をリアルタイムで確認したり撮影したりできる無人潜水機。日本水中ドローン協会(東京)が全国に約40ある認定スクールで講習を受けた人に、安全に操縦できる一定のレベルに達していると認定する「水中ドローン安全潜航操縦士」の技能認定証を発行している。県内では万福の運営するスクールが2校目となる。

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