記者コラム「清流」 他者に寛容な心を

 「『どもってしまってもしょうがない』と割り切らないと人生は楽しくない」-。静岡市葵区で開かれた吃音(きつおん)への理解を深める集会で、当事者の男性(39)の言葉に胸を打たれた。
 吃音のある人は人口の約1%いるといわれ、症状や吃音が出やすい状況は人それぞれ。原因や治療法はまだ明らかではない。「授業中にからかわれ、進んで発表ができなかった」「またどもるのではないかと不安になり、電話するのが怖い」など困難や苦悩を抱えながらも、自分の生き方と向き合っていた。
 明るく語る男性だったが、つらい経験を重ね、見た目ではわからない心の傷を抱えて生活している。障害の有無にかかわらず、誰もが互いの胸の内を想像し、寛容な心で寄り添うことが大切だと思う。
 (社会部・島田莉菜)

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