浦川を元気に 響けオールディーズ 浜松で11月、初のイベント

 かつての地元のにぎわいを再びつくろうと、浜松市天竜区佐久間町浦川の理容店「ヘアーサロンノリモト」の店主乗本和男さん(55)が、趣味のオールディーズの音楽で協力の輪をつくり、浦川地区の地域おこしに汗を流している。11月6日に浦川駅前で初のイベントを開く予定で「浦川を知ってもらうきっかけにつなげたい」と意気込む。

イベントで発表するダンスを指導する乗本和男さん(中央)。オールディーズを意識したポップな格好で練習に励む=9月上旬、浜松市天竜区佐久間町浦川
イベントで発表するダンスを指導する乗本和男さん(中央)。オールディーズを意識したポップな格好で練習に励む=9月上旬、浜松市天竜区佐久間町浦川

 9月上旬、同町の浦川ふれあいセンターで乗本さんはダンスの指導をしていた。BGMは1960年代以前の米国の音楽シーンを彩った名曲が中心。懐かしくて元気が出るメロディーとリズムに合わせ、小学生から大人まで真剣な表情で踊りに励んでいた。11月のイベント「浦川Rockin,(ロッキン)マルシェ」(ウラフェス実行委主催)で発表するパフォーマンスの準備だ。
 参加メンバーの浦川小6年桃井暖來[はる]さん(12)は、ヒップホップを主に好むが、オールディーズも気に入ったという。「明るい曲が多くて楽しめる」と笑顔。乗本さんは「当時の音楽はエネルギーがあって、地域に勢いを与えてくれると思う」と力説する。
 乗本さんは同地区出身。小学生のころ、駅前が人でにぎわっていた光景が今も目に浮かぶ。林業従事者が集い、地元の旅館から三味線の音色が聞こえてきたという。しかし林業や地場産業の衰退に伴い、同地区の人口は1千人を割り込もうとしている。
 元気を失った地元の活気を取り戻そうと、乗本さんは音楽や交流サイト(SNS)で知り合った仲間と協力し、4月に浦川小の体育館で初の音楽イベントを開いた。大雨の中、予想を大きく超える約300人が訪れた。「浦川に人は集まる」と手応えをつかんだ。
 浦川ロッキンマルシェは、音楽ライブやクラシックカーの展示、キッチンカーによる飲食店が設けられる。開催費用は全て地元の協賛金や支援者の寄付などでまかなうという。
 来春には60年代の米国レストラン「アメリカンダイナー」を意識した飲食店「ハニーディップ」をオープンする乗本さん。「田舎でも成功できることを示し、商売したい移住者を呼び込めるようにしたい」と将来を見据えて走り続けている。

 浦川地区 浜松市天竜区佐久間町の一地区で、愛知県東栄町に隣接する。旧佐久間町の資料などによると、1950年代は佐久間ダム建設などがあり、人口のピークを迎えた。56年に旧浦川町(同地区)は佐久間町に合併し、2005年に浜松市へ編入した。同地区の人口は、市によると今年9月1日現在で1077人。佐久間町は同日現在で2834人。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞