記者コラム「清流」 関心が向かった先

 富士市の委託業者がサルの捕獲準備中に麻酔銃を誤射し住民に当たった事故から1カ月半がたった。2匹のうち1匹が殺処分され被害も減り、地域は平時に戻りつつある。
 騒動のさなか、興味本位でサルを探し回る人が相次いだ。関心は広範囲におよび、昔からサルが生息する山際の地域でも目撃者が騒ぎ立てることがあった。
 見つけては大声で逃げるなど過剰ともいえる反応は、サルの敵意をあおると心配された。市内山間部では野生動物を見つけても近づかず適度に距離を保つ意識が根付く。市街地の住民にも同様の対応が求められると改めて感じた。
 問題となった麻酔銃の誤射について原因や危険性を報じたつもりだが、市民の関心をサルに向けてしまったのではないかと再考している。

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