静岡人インタビュー「この人」 御殿場線を育てる会の会長を務める 菅沼弘さん(御殿場市)

 沼津駅と国府津(神奈川県小田原市)を結ぶJR御殿場線の沿線活性化と利便性向上に取り組む。発足した2003年から活動に携わり、15年に会長に就任した。玉穂木材工業(御殿場市)の顧問。77歳。

菅沼弘さん
菅沼弘さん

 ―御殿場線の意義は。
 「1889年に東海道線として開通し、現在の東海道線が開通するまで日本の基幹鉄道だった。東京との往来を活発にし、多くの富士登山者を御殿場に運んだ。駅前に旅館が建つなど地域経済に大きく貢献した」
 ―これまでの会の活動は。
 「かつて御殿場線で活躍し、日本に7両しか現存しない蒸気機関車(SL)D52を郊外から御殿場駅前に移した。御殿場出身の冨原薫さんが作詞した汽車ポッポの歌碑と、御殿場線の歴史を伝える看板を設置した。いずれも市に要望し、市の事業として実現した。御殿場駅周辺の活性化が目的のイベント、御殿場線まつりは今年で16回目。認知度が高まり、運営に協力してくれる団体も増えた」
 ―御殿場線の課題は。
 「御殿場、国府津間の運行本数増加は市民共通の願い。御殿場から東京に通勤する人が増え人口減少を食い止める一助になる。行政と連携して利便性向上を事業者に働き掛けたい。富士山が最もよく見える鉄道で、沿線には観光資源が多い。沿線市町のネットワークを生かし、観光鉄道として売り出し沿線以外の人も楽しめるようになれば」
 ―今後の取り組みは。
 「D52に屋根を付けてほしいと要望している。降水量が多く多湿な御殿場では車両の維持管理が難しく、現在は鉄道会社OBがボランティアで整備している。車両を動かせる状態にし、汽笛を定期的に鳴らして鉄道ファンに来てもらいたい」

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