竜王戦富士宮対局 地元大沢さんの将棋駒、大舞台に

 28、29日の将棋のタイトル戦・竜王戦第3局富士宮対局に、富士宮市在住の駒師大沢建夫さん(79)=雅号・富月=が制作した将棋駒が使われることが決まった。「駒の産地として富士宮を発信できる」と大沢さん。両日は関連イベント会場で自身が顧問を務める「富士駒の会」(笠井敏雄会長)が制作した作品を展示販売する。

竜王戦第3局に用意した将棋駒を紹介する大沢さん=富士宮市
竜王戦第3局に用意した将棋駒を紹介する大沢さん=富士宮市

 「ずっと前から将棋駒でまちおこしがしたいと思っていた」。大沢さんは長距離トラック運転手の傍ら3人の息子との将棋がきっかけで、独学で始めた駒作りは35年を超えた。手がけた駒は1500セット以上。「まだまだ満足できるものはない」と常に改良や工夫を重ねている。第二の人生は駒作りに専念。棋王戦や名人戦などタイトル戦にも使われている。「駒作りのために生かされているようにも感じる」と振り返る。
 大沢さんは竜王戦に向け東京都御蔵島村産のツゲで仕上げた3種の駒を用意。「違和感なく指してもらえるように」と木地の色味や模様にもこだわり選んだ。藤井聡太竜王と広瀬章人八段には「ドキドキするような見ていて楽しい将棋を指してほしい」と期待する。
 竜王戦富士宮対局誘致に尽力した富士駒の会。メンバー45人が大沢さんの指導で駒作りに励んでいる。28、29日は市民文化会館で自身やメンバーが手がけた駒など150点以上を並べ、制作実演を披露する。「将棋を楽しむ人が広がり、手作り駒の温かさが伝わればうれしい」と語った。

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