記者コラム「清流」 台風15号の被災を取材して

 朝起きて蛇口をひねれば飲める水が出ることに気持ちが躍る。温水洗浄便座がぜいたくに感じ、トイレが不自由なく流せることに感謝する。台風15号襲来以来の生活の激変で、まだ何となく日常がぎこちないままだ。
 静岡市清水区で13日間続いた断水、七夕豪雨以来の浸水被害、山間地の民家になだれ込んだ土砂…。被災した人々の意識は一変した。市の地方自治体としての信頼そのものが揺らいでいる。
 被災を経験した記者として、今後も多面的な問題提起を通じ地元に寄り添っていきたいと思う。道路脇には黄土色の細かい粒子の砂がいまも残り、市街地に流れ込んだ巴川の濁流が爪痕を残している。砂はなくなっても、息の長い報道を続けていきたいと思う。

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