静岡人インタビュー「この人」 造形作家として地元で初の個展を開いた看板店社長 野口大さん(沼津市)

 沼津市の看板製作会社の2代目社長として、現場作業や経営に携わる傍ら、作業場で出た鉄板などの廃材を利用し、昆虫や動物を緻密に表現した造形作品を制作している。遅咲きの造形作家として、10月に地元のららぽーと沼津内の店舗で初めての個展を開催した。44歳。

野口大さん
野口大さん

 ―造形作品の制作を始めたきっかけは。
 「2018年に父から社長を引き継ぎ、弟と会社を経営していく中で、自分の会社の『強み』は何かと考えた。新しいアイデアを思いついても、すぐに他の会社に模倣されてしまう。ならば、まねされないようなことをやって、技術をアピールしようと始めた」
 ―どのように作品をつくっていくのか。
 「看板の骨組みになる鉄板の端材や資材をまとめる『番線』と呼ばれる針金が材料。最初は番線だけを曲げて形作るような作品が多かったが、次第に鉄板をたたいて曲げたり、丸みを帯びさせたりした立体的な作品が中心になっていった。生き物がモチーフの作品の一部は、口や脚などが可動式になっている」
 ―作品のモチーフは。
 「形が格好いいか、で決めている。作業場に時々現れるベンケイガニやスズメバチのような身近な生き物から、古代魚までさまざま。帽子や靴も題材にした。昆虫などは、写真や図鑑を参考に何十倍もの大きさにして制作している」
 ―今後の活動は。
 「SNS(交流サイト)のインスタグラムで作品を紹介している。作品を見た地元の店から、造形作品の注文も入った。『立体看板』のような新たな看板の一つとして、本業にもつなげていきたい」

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