静岡人インタビュー「この人」 静岡県感染症対策担当部長 鈴木宏幸さん(静岡市清水区)
4月に就任し、新型コロナウイルス対応の指揮を執る。1985年度入庁。大半を健康福祉部で過ごし、医療分野に精通する。目下の懸案は季節性インフルエンザとの同時流行対策。趣味はクラシック鑑賞。60歳。
-県内の感染状況に対する認識は。
「10月にいったん落ち着いたが、今月に入り急激に感染者数が伸び始めた。再拡大の様相は全国も同様。水際対策が緩和され、行動制限もなく、ウイルスが広がりやすい環境だ」
-県は、同時流行の患者発生は1日最大2万5千人に上ると試算した。
「想定通りになれば現状の医療提供体制ではとても対応できない。事前の備えが大切で、呼びかけたいのはワクチン接種。特に3歳未満の子どもはインフルエンザの免疫がなく、5歳未満のコロナ感染者の入院率や重症度割合は60代と同程度とのデータがある。両ワクチンは同時接種が可能なため、検討してほしい」
-どのような診療体制を構築するのか。
「高リスク者や症状の重い人への対面を基本とした受診体制だ。医療現場から『できる限りやりたい』という心強い言葉を頂いている。医療機関や市町と協議し、診療日を増やす施設に支援策を打ち出すなどしたい」
-第7波では医療従事者不足が課題になった。
「家族が感染したことによる欠勤が相次いだ。濃厚接触者の扱いはコロナが未知の感染症だった流行初期のまま。適切なのか。インフルエンザには就業制限の措置がなく、オミクロン株の状況を踏まえると同様の運用を採用すべき。(医療費の)公費負担は継続するなど、柔軟な対応も可能ではないか」