将棋 名勝負の裏側紹介 加藤一二三さんが静岡で講演

 静岡県労働者福祉基金協会は12日、日本将棋連盟棋士九段の加藤一二三さん(82)を招いた講座を静岡市駿河区の県男女共同参画センターあざれあで開いた。加藤さんは「将棋と人生」と題して講演し、63年間の現役生活の経験や学びを紹介した。

講演する加藤さん=静岡市駿河区の県男女共同参画センターあざれあ
講演する加藤さん=静岡市駿河区の県男女共同参画センターあざれあ

 加藤さんは印象深い対局として、初タイトルをかけた1968年度の十段戦、故大山康晴十段との熱戦を挙げた。第4局で大山十段が封じ手をし、加藤さんは日をまたいで計約7時間もの熟考の末に将棋史に残る1手を思いついたことを説明。「封じ手のタイミングが違ったら、あの1手が生まれたか分からない」と裏側を語った。
 30歳を前に棋士として行き詰まった時期には、妻から「どんな時もいい将棋を指さなくてはならない」と励まされてハッとしたという。この言葉に支えられて名人になることを目標に戦い続けられたといい、「精神の糧」の大切さを伝えた。
 加藤さんは本年度、文化の向上発展に関して特に顕著な功績があったとして文化功労者に選ばれた。

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