ピロール米の生産開始 御殿場、小山の農家 健康面に特化

 御殿場市と小山町の米農家が健康面に特化した「ピロール米」の生産に取り組んでいる。生産者の減少に危機感を抱き、ブランド米「御殿場コシヒカリ」の価値をさらに高める試み。消費者に選ばれ、米屋の商売が活性化し、生産者はもうかる「三方よし」の農業経営環境を目指す。

収穫したピロール米を手に展望を語る遠藤会長(右)と林事務局長=小山町
収穫したピロール米を手に展望を語る遠藤会長(右)と林事務局長=小山町


 鶏ふんや米ぬかなどの肥料をまき、水田の土の酸素と有機物を増やす農法。出来上がった米は弱アルカリ性でミネラル豊富。通常の米にはない、血液をつくる「ビタミンB12」を含むという。
 「ピロール農法研究会御殿場」所属の6人が今年初めて本格的に生産し、計100俵を収穫した。遠藤博雄会長(73)は「特別なことをせずに、毎日おいしい米を食べるだけで家族全員が健康になる」とアピールする。
 需要減少や価格下落が続き米農家を取り巻く環境は厳しい。北駿地域の水田は傾斜が多く草取りなどの手間がかかり、廃業を考える農家も多いという。遠藤会長はこうした状況を打開しようと、特徴ある米作りを模索。相談を受けた元JA職員の林完二事務局長(65)が農法を紹介した。昨年の試験栽培で成果を確認し、仲間を募って1月に研究会を立ち上げた。
 ピロール米とうたって販売するには専門機関の認定を受ける必要がある。研究会はさらに、粒の形や重さなどに独自基準を設けて品質を担保した。かわい米や(三島市)やファーマーズ御殿場などで販売中で、都内のスーパーでの販売も決まった。販売価格は通常の御殿場コシヒカリの1・5倍超だ。
 遠藤会長は「宝永噴火で火山灰に埋まっても復活し受け継がれてきた北駿の農業を守りたい」と熱意を語る。ユーチューブやインスタグラムを活用してPRに努め需要拡大を図る。

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