そば店外壁に巨大絵画 まちなか“美術館”で活性化 沼津市民グループが取り組み

 沼津市中心部のそば店の壁に1日、沼津の特産物などを描いた大きな壁画が完成した。同市の建築家らでつくるグループが、中心街の衰退で店舗が解体され、駐車場や空き地になったことでむき出しになった無機質な壁をキャンバスに見立て、街全体を“美術館”にしようと取り組んでいる。

戸塚さん(左から2人目)の原画を基にそば店の壁に描かれた壁画=沼津市本町
戸塚さん(左から2人目)の原画を基にそば店の壁に描かれた壁画=沼津市本町

 同市本町の老舗そば店「安田屋」の駐車場に面した壁に同日、富士山や千本松原の風景、ミカンと茶畑、干物などを描いた高さ8メートル、幅10メートルの壁画がお目見えした。原画を描いたのは、同市北高島町の戸塚未帆さん(32)。「絵の子どもたちは、家族がモチーフ。当たり前の日常の中にある沼津の良さを詰め込んだ」と作品の意図を語った。
 壁画は同市のグループ「街なかを元気にするまちづくりの会」が、まちなかの壁をアートで彩ることで、活気を生み出そうと企画した。今回は店舗から無償で壁の使用の許可を得た。原画は今年8月に公募し、集まった27点の中から、戸塚さんの作品を選んだ。資金は市の民間支援まちづくりファンドや、クラウドファンディングで賄った。
 同会によると、JR沼津駅南口の市中心街には、同様の空き地に面した壁が33カ所あるという。隙間なく建てられたビルが多く、窓が少ない壁がほとんどで、壁画を描くのに適している点にも着目した。同会の塩見寛代表(70)=同市=は「さまざまなアートで中心部を彩ることで美術館のようになり、人が集まる場になれば」と思い描き、協力してもらえるビルの所有者を募っている。

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