浜松北部 定石破りの逆転 3連覇果たす【市町対抗駅伝】

 第23回静岡県市町対抗駅伝競走大会(静岡陸上競技協会、静岡新聞社・静岡放送主催、県、県教委、県スポーツ協会共催)は3日、県内全35市町37チームが静岡市内の12区間42.195キロで争った。市の部は浜松市北部が2時間11分30秒で3連覇を果たし、町の部は清水町が2時間14分25秒の大会新で2年ぶり3度目の優勝を飾った。

3連覇を果たした浜松市北部。須田光星(左)がトップに立ち、アンカーの杉保滉太にたすきをつなぐ=第11中継所(東部総局・山川侑哉)
3連覇を果たした浜松市北部。須田光星(左)がトップに立ち、アンカーの杉保滉太にたすきをつなぐ=第11中継所(東部総局・山川侑哉)
5区でトップに躍り出た浜松市北部の野中恒亨(右)=静岡市葵区
5区でトップに躍り出た浜松市北部の野中恒亨(右)=静岡市葵区
3連覇を果たした浜松市北部。須田光星(左)がトップに立ち、アンカーの杉保滉太にたすきをつなぐ=第11中継所(東部総局・山川侑哉)
5区でトップに躍り出た浜松市北部の野中恒亨(右)=静岡市葵区

 浜松市北部は5区野中恒亨(浜松工高)が浜松市南部との28秒差を逆転。再び首位を明け渡したが、8区大谷芽以(浜松細江中)、11区須田光星(浜松日体高)の区間賞でひっくり返し、12区杉保滉太(スズキAC)がアンカー勝負に競り勝った。浜松市南部が2位、御殿場市が3位。
 清水町は6区大森郁夫(おおしろ整形外科)から3連続区間賞で吉田町との最大1分53秒差を一気に追い上げ、10区斎藤みう(日体大)が奪首。アンカー岩崎陽生(拓大)が連覇を狙った吉田町を突き放した。函南町が3位に入った。
 人口1万5000人未満の市町の1位に与えられるふるさと賞は町の部6位入賞の南伊豆町が獲得。敢闘賞は前回より記録を伸ばした沼津市、熱海市、伊豆市、松崎町、河津町が選ばれた。
 

厚い選手層、終盤にエース級

 定石破りの逆転劇で浜松市北部がライバルとの競り合いを制した。8区の中学女子を終えても首位に立てず、10区で再び浜松市南部の背中が遠ざかっても、残り2区間で狙い澄ましたように優勝をさらった。「この駅伝は中学生区間でトップのチームが勝つ。でも、今年はそれを覆す選手層があった」。勝ち方を知り尽くす杉原監督(浜松開誠館高職)が満足そうにうなずいた。
 11区3・7キロ地点。高低差30メートル超の有東坂を勢いよく駆け上がってきた須田(浜松日体高)が首位を捉えた。「抜くことしか考えていなかった」と37秒の大差をあっさり逆転。5000メートル14分中盤のエース級が最終盤にいる-。今大会のハイライトに王者の強さが凝縮されていた。
 高校女子エースの沢田(浜松市立高)が欠場。浜松市南部にリードを許す時間は長かった。だが、一度も40秒以上は離されない。高校男子のエースが集う5区で、5000メートルランク1位の野中(浜松工高)が「30秒以内ならひっくり返せる」と28秒差を帳消しにすれば、最大38秒差が開いた8区でも大谷(浜松細江中)が3キロで20秒縮めて食らいついた。
 「20秒以内なら逆転できる」(杉原監督)と踏んでいたアンカー杉保(スズキAC)に、ほぼ同時にたすきが渡った時点で勝負あり。初出場の24歳は1・5キロ過ぎに粘る前川(杏林堂薬局)を振り切り、Vロードを突き進んだ。
 来年は沢田が復帰する上、杉原監督はさらなる秘策を温めているという。「主力不在でも勝ちきった。来年はもっと強いよ」。チーム再編の2020年から3連覇。新たな黄金時代の幕が上がった。

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