必要な情報早く正確に 浜松・水窪でスマホ活用 「回覧板」運用へ試験配信

 浜松市天竜区水窪町の地域活性化団体「よかっつらみさくぼ」は、今夏から通信アプリのLINE(ライン)を活用して、生活情報やイベント告知などを地域住民に試験配信している。スマートフォンを活用することで、地域の情報を住民に素早く確実に届ける狙い。同団体は「スマホで見られる『デジタル回覧板』のような仕組みにしたい」と利便性に期待する。

「水窪くらしの情報局」の配信画面(「よかっつらみさくぼ」提供)
「水窪くらしの情報局」の配信画面(「よかっつらみさくぼ」提供)
ラインのアカウント「水窪くらしの情報局」の配信画面を紹介する「よかっつらみさくぼ」の会員=10月下旬、浜松市天竜区水窪町
ラインのアカウント「水窪くらしの情報局」の配信画面を紹介する「よかっつらみさくぼ」の会員=10月下旬、浜松市天竜区水窪町
「水窪くらしの情報局」の配信画面(「よかっつらみさくぼ」提供)
ラインのアカウント「水窪くらしの情報局」の配信画面を紹介する「よかっつらみさくぼ」の会員=10月下旬、浜松市天竜区水窪町

 ラインアカウント「水窪くらしの情報局」では、7月末から町内のモニター約50人を対象に週1回、写真や文字、音声を使った情報を届けている。最近では、新型コロナウイルスの抗原検査キットの配布に関するお知らせや、同町の水窪中の生徒が考えたお弁当販売の告知などを配信した。
 アカウントは、同団体を構成するNPO法人「まちづくりネットワークWILL」の平沢文江理事長が運営している。平沢さんは「行政では届けられない情報をラインで簡単に見られるようにしたい」と話す。
 同町では近年、地域情報の発信に課題を抱えていた。
 災害や行政の情報を中心に届ける同報無線は、地元企業や民間の取り組みを放送しづらい。さらに同報無線の放送回数は限られており、聞き逃すデメリットもあった。集落ごとに配っていた回覧板も、現在は郵送している世帯もあり、コストが増している。情報を確実に早く届けられる仕組みが必要だった。
 ラインは地域の情報ツールとして、「WILL」が注力するスマホ利用の普及拡大とも相性が良く、効果を期待できた。モニターからは「イベントの問い合わせ先を入れてほしい」「どんなことでも連絡してほしい」などと数多く意見が寄せられており、改善を重ねている。
 平沢さんは、来年の本格運用に向け準備を進めている。ラインの配信サービスは、一定の登録人数を超えると、配信側の「よかっつらみさくぼ」が有料負担となる。地元企業の広告料などで補うつもりだ。今後は、運営を3人に増やし、500世帯以上の利用を目指す。平沢さんは「世帯の誰か一人が登録していれば水窪のイベントやお知らせを把握できる。お年寄りが出かけるきっかけや、地域の暮らしに役立てられるようにしたい」と展望を示した。

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