なでしこ1部昇格 WE参入への第一歩に 女子サッカー静岡SSUボニータ監督/小川貴史氏【本音インタビュー】

 女子サッカーのアマチュアトップチームが集うなでしこリーグに所属する「静岡SSUボニータ」(磐田市)の監督。就任1年目でチームを初の2部優勝に導き、1部昇格を果たした。今季の躍進を振り返るとともに、指導方針や課題、目指す方向性などを聞いた。

小川貴史氏
小川貴史氏


 ―チームの第一印象は。
 「オルカ鴨川(なでしこ1部、千葉県)を指揮していた昨年12月の皇后杯3回戦で対戦し、戦いぶりを目の当たりにした。攻撃力が高く何度も危ないシーンをつくられ、試合直後に関係者と話題になるほどだった。一方、守備は強度が足りない印象だった。ゴール前で体を張ってボールを奪う個人の守備と、自由にシュートを打たせないグループ単位の守備を、試合状況に応じて整理整頓する必要があると感じた」
 ―指導や育成では何を重視しているのか。
 「戦術面ではボニータらしい攻撃的なサッカーを残しながらも先制点を取られないように、守備からゲームの流れをつかむチームづくりに徹した。また、ボニータを広く知ってもらおうと、地域のイベントにも積極的に参加している。グラウンド近くで毎週行われているラジオ体操には選手が交代で出向き、自己紹介や意気込み、試合予定などを報告している。周囲から励ましの声を直接受けることで、選手は『良い結果を報告したい。勝つことでチームを知ってもらえる』と感じて責任や自覚が芽生えた」
 ―今季最も大事だった試合は。
 「優勝争いを繰り広げていたJFAアカデミー福島を抑え、1位に浮上した第16節が大一番だった。残り3試合で優勝を意識し始めた瞬間、プレーが硬くなりチームの雰囲気も悪くなった。『チームの立ち上げからサポートしてくれた方々や応援してくれる地域のみんなを思い出せ。これまでの悔しい気持ちを忘れるな』と選手たちを鼓舞して、何とか引き分けに持ち込めた」
 ―初の1部リーグに臨む意気込みを。
 「女子サッカーのプロチームでつくるWEリーグに参入するための第一歩。守るものはなく、つかむしかない。ボールを持っている時、持っていない時のいずれも、アグレッシブなプレーで魅了して旋風を巻き起こしたい。選手たちは勝ちにこだわり、自分自身に期待してほしい。私は選手たちを信じて送り出す」

 おがわ・たかし 水戸ホーリーホック育成・普及部コーチやAC長野パルセイロU―18コーチなどを歴任。2020年にはJ3沼津U―14監督を務めた。オルカ鴨川監督を経て22年から現職。埼玉県出身、45歳。

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