記者コラム「清流」 四ツ溝柿との「初対面」

 気づけば年末。記者の醍醐味(だいごみ)の一つが旬の味覚の取材だろう。例えば、贈答用として人気の長泉町の特産品「四ツ溝柿」。愛鷹山の麓が一面に朱色に色づく光景に胸が熱くなった。昨年は見られなかった光景だ。
 四ツ溝柿は昨秋、収穫期直前にひょうが降って全体の9割が出荷できず、被害の取材となってしまった。今年は天候に恵まれ、初めて収穫を取材した。同町元長窪の専業農家伏見政義さん(65)は「例年通り。ほっとしている」と顔をほころばせた。
 収穫後、二酸化炭素の中に数日間密閉する「脱渋」を経て、完成した柿をふるまっていただいた。しゃりっとした食感とジューシーな甘さで、すぐに売り切れるのも納得の味わい。旬の味覚を通じて、土地への愛着も深まった。

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