住宅関連会社×障害者施設 「住福連携」推進へ 受注作業ひと目、カタログ作成

 生きがいを求めて働く障害者への理解を深め、互いに仕事を頼み合えないか。そんな関係性を築こうと、浜松市内の複数の住宅関連会社が“住福連携”の取り組みとして、県西部の障害者就労支援施設が受注できる仕事をまとめたカタログを作成した。年内に数十冊を取引先などに配布し、賛同の輪を広げる。

作成したカタログを確認する住宅関連会社の関係者ら=浜松市中区
作成したカタログを確認する住宅関連会社の関係者ら=浜松市中区

 市内で住宅リフォームなどを手がけるエネジン、三立木材、仲田建築などが、仕事を依頼できる障害者施設がほとんど知られていない状況に着目し、地域内のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みとして企画した。
 カタログはA4判で、浜松、磐田市などの10施設が請け負うグッズ製作をはじめ、空き家の換気や草刈りといった住宅関連作業も一覧にした。施設のチラシもとじ込み、掲載施設を随時増やせる簡易な作りにしている。
 準備会合では企業と障害者施設の関係者が本音をぶつけ合った。浜松市北区で障害者就労支援を手がけるNPO法人トータルケアセンターの安間孝明代表理事(64)は「民間と比べると施設への発注は価格が高くなりがちで、民間企業に頼めば良かったと言われることもある。実情をよく知ってもらった上で、長く続く関係をつくりたい」と切望する。
 会合を通じ、企業と施設双方にメリットが感じられる関係性も生まれつつある。同区の仲田建築はカタログの完成前に初めて、施設に販促用マグネットシート作成を注文した。一方、施設からは設備修繕の依頼を受けた。仲田伸吾社長(48)は「仕事を頼んで支援するだけでなく、本業の顧客開拓にもつながりそう」と感触を語る。
 住宅関連会社側は、施設や障害者家族への割引サービスや、施設の仕事の動画やブログでの発信も検討し始めた。自治体が障害者施設への積極発注を進める半面、民間中心の事例はまだ少ない。市社協北地区センターの中西健太さん(38)は「企業目線の取り組みで、関心が高まってほしい」と期待する。
 (浜松総局・白本俊樹)

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