静岡人インタビュー「この人」 釣り場環境改善を目指す釣り具メーカー社長 加藤慶太さん(静岡市)

 3月に海洋環境改善のための「1%のソーシャルグッド」を掲げ、実践する年商約12億円の釣り具メーカートップ。公認会計士の資格を持ち監査法人勤務後、父が創業した会社を2018年に継いだ。「良い釣り道具を作るだけでなく、釣り場環境の保護も重要」と話す。42歳。

加藤慶太さん
加藤慶太さん

 -「1%のソーシャルグッド」とは。
 「ルアーの年間販売数の1%に相当する稚魚を放流し、社長と全社員の総労働時間の1%を環境保護活動に充てる。毎年、3月から2月末までの1年間で計算し、稚魚は1万5千匹以上を放流、342時間を清掃などに充てる目標を立て実践中だ」
 -なぜ活動を。
 「原点に立ち返り『もっと魚が釣れるようになるにはどうすればいいか』を考えた結果、創業以来取り組んできた良い釣り道具を開発する一方で、魚を釣るだけでなく、増やすことも重要だと思い至った」
 -困難は。
 「『1%』という数字は小さいようだが、実際にはかなり負担になることが分かった。集中力を切らさずに清掃等を実施できるのは1日に2時間程度が限界。これを342時間行うことは思いのほかハードルが高い。そんなとき他の釣り具メーカーや小売店も共感し、活動時間に貢献してくれた」
 -釣り人として思うことは。
 「海岸清掃では釣り具のパッケージなどが浜に捨てられていることがある。だれもが気持ちよく、楽しく釣りをできる環境をつくりたい。海外では釣った魚の種類に応じて、持ち帰ってよいサイズや数に制限が設けられている場合がある。このような例も参考にして、わが国の海洋資源の未来を見据えた取り組みが必要と考える」

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