日本語教室や学校編入支援 市と責任ある「教育」を 湖西国際交流協会事務局長/猪井英典氏【本音インタビュー】

 40カ国以上の国籍の人々が暮らし、外国人人口6・5%と県内でも上位の湖西市で、湖西国際交流協会が果たす役割は大きい。外国人同士のつながりを生むイベントをはじめ、市の委託事業として子どもを対象にした日本語教室や、移住後の学校編入をサポートする初期支援教室に力を入れている。

猪井英典氏
猪井英典氏


 -日本語教室の現状は。
 「2009年から継続していて、市内に外国人の子どもが増えてきたことから、今年4月には教室を2カ所に増やした。場所が遠かったため、これまで通えない子もいた。登録者は現在50人以上。中には教室に来て遊ぶ子もいるが、学校以外に居心地が良い場所があることも大切。来てくれるだけでも意味がある」
 -言葉の重要性とは。
 「日本語が理解できる状況なら、いろんなことが身に付く。逆に、親の都合で一緒に日本に来た子どもが、言葉が分からない中で生活するのはかなりのストレスがかかる。接していると常に緊張感のある子もいる。ポルトガル語教室を開いた時には、それを母語としている子が生き生きとした表情にガラッと変わった。日本語を教えると同時に、母語を通じて認めてあげることも重要だと感じている」
 -初期支援教室はなぜ必要か。
 「学校生活になじめるようにするため、基本的な日本語や生活ルールを教える。最初につまずいてしまうと不登校や、その後受け入れる立場の教員の負担増加にもなってしまう。初期支援を受ける子の多くは、将来も日本で生きていこうと考えている。最初の支援を丁寧に行うことが、その後の人生にとって非常に重要だと認識している」
 -協会活動の今後の課題は。
 「支援が必要にもかかわらず、教室に来ていない子がまだいる。現在はあくまでも市の委託事業。他自治体のように子どもが学校に在籍しながら初期支援教室ができれば、学校教育の範囲内に位置付けられ、支援からの漏れを防ぐことにつながる。また、初期支援教室の期間は3週間しかなく、人手も予算も十分ではない。3カ月間かけてじっくり指導している自治体もある。市は『多文化共生』だけではなく、『義務教育』の観点から責任を持って問題に向き合ってほしい。市と連携して充実した態勢をつくりたい」

 いい・ひでのり 湖西市役所に長年勤め、企画部長などを歴任。定年退職し、2014年から湖西国際交流協会事務局長。69歳。

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