宇宙飛行士を幸せにしたい! 静岡の小6が挑む夢の宇宙食 熱意に共感、大学生協力

 静岡大付属静岡小6年の増田結桜(ゆら)さん(11)=静岡市清水区=が、静岡県産食材を生かした宇宙食開発に熱意を注いでいる。国際宇宙ステーションで宇宙飛行士に提供されるための基準となる宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙日本食」認証取得に向け、県内大学生6人らと「チームゆら」を結成。4年計画で取り組み、夢の実現を目指す。

「宇宙日本食」の認証取得を目指し、大学生と打ち合わせをする増田結桜さん(左から2人目)=12月上旬、静岡市清水区の「コラボレーションスペースTakt」
「宇宙日本食」の認証取得を目指し、大学生と打ち合わせをする増田結桜さん(左から2人目)=12月上旬、静岡市清水区の「コラボレーションスペースTakt」
試作したミカンゼリーなど。企業の協力でパウチ加工してもらった(増田さん提供)
試作したミカンゼリーなど。企業の協力でパウチ加工してもらった(増田さん提供)
「宇宙日本食」の認証取得を目指し、大学生と打ち合わせをする増田結桜さん(左から2人目)=12月上旬、静岡市清水区の「コラボレーションスペースTakt」
試作したミカンゼリーなど。企業の協力でパウチ加工してもらった(増田さん提供)

 増田さんは以前から天文や宇宙に関心を持ち、宇宙に関わる仕事を紹介する本を読んだ際、宇宙食開発の仕事を知った。「宇宙飛行士を幸せにする宇宙食を作る」。そう心に決め、1年前から試作を重ねる。持ち前の行動力と周囲の協力で、宇宙日本食の認証を取得した実績がある石田缶詰(焼津市)や福井県立若狭高のほか、JAXA、行政関係者とも面談し、実現へのヒントを探ってきた。
 これまで試作したのは「しぞ~かおでん」「ミカンゼリー」「けんちん汁」の三つ。現在はミカンゼリーに重点を置いて認証取得を目指している。小中学生が科学や数学の自由研究に取り組む「静岡STEMアカデミー」にも参加し、宇宙食に適した凝固剤も研究。増田さんは「食材はもちろん、凝固剤も“静岡県産”にこだわりたい」と意欲を見せる。
 ただ、認証取得までには多くの壁がある。「製造の協力企業を探し、資金集めも必要。一人では難しく、力を借りたいと思った」と増田さん。地域や企業、学生の交流拠点「コラボレーションスペースTakt」(静岡市清水区)で、自身のプロジェクトを発表し、食品や化学を学ぶ学生と社会人有志とでチームを結成した。
 静岡県立大食品栄養科学部2年大友玲実さん(20)は「結桜さんは明確なビジョンを持っている点がすごい。チームの広報担当として活動を広く知ってもらえるよう頑張る」と話す。増田さんは「大学生の皆さんに興味を持ってもらえてうれしい。今後の活動が楽しみ」と声を弾ませた。

 <メモ>宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、「宇宙日本食」の認証を取得するには包装の完全性や保存性、栄養性、品質などの厳しい条件をクリアする必要がある。製造は、高度な衛生管理体制が整う施設で行う。現在認証を受けているのは28社・団体の計50品目。県内企業が関わった事例では、ホテイフーズコーポレーション(静岡市清水区)のやきとり缶詰、石田缶詰(焼津市)がサガミホールディングス(名古屋市)などと共同開発した「名古屋コーチン味噌煮」がある。

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