名品尺八 再び響いて 継承の9本、奏者求める 清水民謡保存会

 旧清水市(現在の静岡市清水区)で一世を風靡(ふうび)した「民謡のつどい」を主催してきた清水民謡保存会が、貴重とされる横山蘭畝(らんぽ)作の尺八の演奏者を探している。新型コロナ禍と高齢化で現在、同会は活動を休止。会主の吉田和弘さん(75)と妻の光子さん(76)=同区江尻東3丁目=は「日本の伝統楽器に興味がある若い人に吹いてほしい」と話す。

蘭畝作の尺八を手にする吉田さん夫妻=静岡市清水区江尻東3丁目
蘭畝作の尺八を手にする吉田さん夫妻=静岡市清水区江尻東3丁目
尺八に押されている「蘭畝」の印
尺八に押されている「蘭畝」の印
蘭畝作の尺八を手にする吉田さん夫妻=静岡市清水区江尻東3丁目
尺八に押されている「蘭畝」の印

 保存会は光子さんの父、法月信章さん(故人)が創設。1972年からはプロの民謡歌手を東京から呼ぶなどし、つどいを開いてきた。光子さんは「娯楽が多くなかった時代。1500席あった当時の市民文化会館はいつも満員になるほどだった」と振り返る。和弘さんが尺八や三味線を演奏し、光子さんもステージで歌った。つどいは20年ほど前まで行った。
 蘭畝作の尺八は合計9本あり、全て信章さんが買い求めたもの。和弘さんによると、音が特別澄んでいるため愛好者に人気が高い。最近は尺八などの伝統的な和楽器が洋楽とコラボすることもあり、登場機会の幅を広げているという。
 蘭畝作の尺八は光子さんにとっていわば父の形見。光子さんは「本当に吹きたい人に吹いてもらえば父も喜びます」と話す。

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