木材パルプ輸入、清水港で最多 コロナで段ボール需要増 ペーパーレス化で全国は減少傾向
新聞紙や紙おむつに利用される木材パルプの輸入が清水港で増えている。統計として比較可能な1988年以降、最新の2021年は数量・金額ともに最高となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で電子商取引(EC)が活況となり、商品を詰める段ボールの需要が増えたことが要因として挙げられている。
名古屋税関調査部によると、清水港における21年の木材パルプの輸入量は、前年比2・2%増の50万880トン。金額は同39・4%増の約413億4500万円となった。清水港の輸入量、金額ともに21年は全国の4割近くを占めている。清水港に近い富士市に製紙工場が集積しているため、清水港は伝統的に木材パルプの輸入が多いとされている。
近年の増加の背景として、同部が指摘するのは新型コロナの影響だ。衛生意識の高まりで紙タオルの需要が増加しているうえ、ECの拡大で段ボール原紙や包装紙の需要がアップしているという。
同部によると、デジタル化でペーパーレス化が進み、全国的には木材パルプの輸入量はこの20年間減少傾向となっている。一方、富士市に近い清水港ではこの20年間逆に数量・金額ともに増加傾向で、業界関係者は「清水港が木材パルプの輸入港として一層存在感を増している」と話す。
木材パルプの運搬船が荷揚げする清水港新興津岸壁は手狭になっているため、国土交通省では21年から岸壁を200メートル延伸する工事に着手し、25年度に完成する予定だ。