真実が見えにくい今に通じる SPAC「リチャード二世」 演出の寺内亜矢子さん語る

 静岡県舞台芸術センター(SPAC)による演劇「リチャード二世」の一般公演が14日、静岡市駿河区の静岡芸術劇場で始まる。シェークスピアが16世紀に書いた歴史劇を現代によみがえらせた新作。演出を手がける寺内亜矢子さんは「言葉の重さや軽さを取り扱う、現代の私たちに通じる物語として取り組んだ」と話す。

分かりやすさを重視した演出について語る寺内亜矢子さん
分かりやすさを重視した演出について語る寺内亜矢子さん
「リチャード二世」の一場面=静岡市駿河区の静岡芸術劇場
「リチャード二世」の一場面=静岡市駿河区の静岡芸術劇場
分かりやすさを重視した演出について語る寺内亜矢子さん
「リチャード二世」の一場面=静岡市駿河区の静岡芸術劇場

 実在のイングランド王の王位簒奪[さんだつ]劇を描いた同作品。好き放題に振る舞った男が王位を奪われ、その態度や言葉は、傲慢[ごうまん]から卑屈へ、希望から絶望へ、諦めから執着へ―と一気に切り替わる。劇の中心になるリチャード二世役はベテラン俳優阿部一徳が演じる。
 自身もSPACを主な拠点に俳優や演出家として活動する寺内さん。小田島雄志訳の同作品を読み込んだのは、2年前のリーディング劇の演出時が初めてだった。「第1幕の初めから引っかかるものがあった。互いに言いたいことを言って戦い、勝った者が正義になる。言葉が軽く、真実が見えにくくなっている今に通じる」と語る。
 俳優でも取り組みにくいというシェークスピアの歴史劇。観客に「自分のこと」として捉えてもらうことを目指した。舞台に常駐する案内人役の俳優が幕あいで説明を入れるなど、舞台と観客をつなぐ工夫もした。
 寺内さんは「どうしたら今起きていることとダイレクトにつながるか、俳優と話し合って創ってきた。言葉の面白さ、劇場の魅力を伝えたい」と話す。
 「リチャード二世」はSPAC秋→春のシーズンの3作目。一般公演は14~29日の土、日曜で、各日とも午後2時開演。問い合わせはチケットセンター<電054(202)3399>へ。

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