絵画“隠し味”にコーヒー 飲み残しを顔料に使用 美術家・橋本さん、富士宮で個展

 東京都青梅市の美術家橋本俊宣さん(75)による静岡県内初の個展「明かりを求めて」が2月25日まで、富士宮市中央町のARATAギャラリーで開かれている。橋本さんが30年ほど前からため続けているコーヒーの飲み残しを顔料に使った一点物の絵画作品を大小約30点並べた。

コーヒーを顔料に使った絵画作品が並ぶ橋本さんの個展=富士宮市中央町
コーヒーを顔料に使った絵画作品が並ぶ橋本さんの個展=富士宮市中央町

 「もともとコーヒーは顔料に使えると目を付けていた」と橋本さん。以前は版画を中心に手がけていたが、コーヒーを使った絵画制作に移っていった。当初はコーヒーを使っていることは明かしていなかったという。「コーヒーは隠し味」と語る。
 しっくいで凹凸を表現した下地に岩絵の具を混ぜたコーヒーを流し込むなどして、そこに広がる模様から得たインスピレーションで作品を展開する。「コーヒーが描くグラデーションの魅力に引き込まれた。それは想像力をかき立ててくれる」と語る。模様の上に昆虫や女性などを描いた作品が多く並ぶ。エメラルドグリーンが印象的な作品「空へ」は光を求めて飛び立つチョウを印象的に描いた。
 橋本さんは「絵を楽しむためには何だって道具になることを伝えられたら」と語った。

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