浜松・天竜区の土砂崩落 排水対策の工事完了「梅雨までに」

 住民3人が負傷した昨年9月の台風15号に伴う浜松市天竜区緑恵台の土砂崩落で、市は17日、第三者技術的検証会の第2回会合を市役所で開いた。崩落した無届けの盛り土を撤去した後の安全性について、市は「のり面が露出するが、土質は安定している」として、今後の排水対策と併せることで崩落の再発リスクは抑制可能と説明した。地中の排水管敷設工事を今年の梅雨時期までに完了させる方針も示した。

上空から見た現場斜面の図
上空から見た現場斜面の図

 市によると、現場の斜面は約30年前の宅地造成時に盛り土で整形され、その上から後年に土地所有者らが無届けで残土など約8100立方メートルを盛っていたとみられる。今回崩落したのは無届けの残土部分で、市は今春をめどに崩れ残っている土砂を撤去する予定。
 前回の会合では、市が宅地造成時の盛り土を残して対策完了とすることの是非などが課題に挙がった。市が宅地造成時の盛り土を調べたところ、粘度や礫(れき)の割合が良好で、安定性が高いとの結果を得た。第三者委員からは「さらなる土質の精査を」と注文がついた一方、市の対策案はおおむね妥当だと評価された。市は分析を重ねて再度、委員の意見を聞く方針。
 崩れ残った土砂の撤去は17日に始まり、一連の対策費用は4億3千万円に上る見込み。市は土地所有者や運搬業者が土を運んだ経緯を調べていて「今後、責任の所在が明らかになれば費用の請求を検討する」としている。

崩落斜面は「かつての沢」 雨水集中しやすい地形
 浜松市は17日の天竜区緑恵台土砂崩落に関する第三者技術的検証会で、現場の斜面はかつての沢で、雨水が集中しやすい地形のため崩落の素因になったとの見解を示した。
 市によると、約30年前の宅地造成時の盛り土層を調べたところ、幅数十メートルに及ぶ崩落斜面のほぼ中央に、垂直方向に続くくぼみが確認された。降雨時に雨水が流れる沢だったと考えられるという。くぼみは厚さ4メートルほどの盛り土で覆われ、周囲と同様に表面が整形されていた。ただ、地下水位が上昇しやすく、市は土砂崩落の直前にくぼみの斜面中腹付近の地表に地下水が噴き出し、後年の盛り土が水を含んで崩れ始めたとメカニズムを説明した。

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