記者コラム「清流」 “イチ流”な球児 育って

 イチローさんが富士高野球部を指導に来たと知ったとき、ここ数年で一番胸が高鳴った。来訪から数週間後にグラウンドを訪ね、変化を探った。希代の安打製造機の技術や流儀に憧れた元球児として、部員がスターから間近で得たものを知りたかった。
 共に汗を流した2日間で、限界を超えるために自身を追い込む「頑張る」ことの本質を学んだという。対面は同部が定期開催する幼児児童向けの野球体験会をきっかけに実現した。部員には教えを未来につなぐ期待がかかる。
 指導を受けられたのは全国で現状6校だけで、今後も注目され続けるだろう。ナインは「結果で示す」と、色めく周囲をよそに冷静だった。重圧を乗り越え数々の大記録を打ち立てた最高峰の思考は確かに根付き始めている。

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