対面が魅力 さいころRPG 浜松の同好会「あどりぶ」20周年

 魔物を倒したり宝を集めたりといったシナリオを、数人で卓を囲みさいころを振るなどして進めるゲーム「テーブルトークRPG」の同好会「あどりぶ」(浜松市浜北区)が2023年春、設立20周年を迎える。スマートフォンやパソコンのオンラインゲームが活況で、遊びでも対面のコミュニケーションが減る中、顔が見える仲間づくりの場を提供し続けている。

テーブルトークRPGのルールブックなどを紹介する堤さん(左)。「人と人とが対面して遊ぶ趣味の魅力は今後も衰えない」と強調する=浜松市浜北区の浜北文化センター
テーブルトークRPGのルールブックなどを紹介する堤さん(左)。「人と人とが対面して遊ぶ趣味の魅力は今後も衰えない」と強調する=浜松市浜北区の浜北文化センター

 同区の浜北文化センターで1月下旬に開かれた住民グループの合同発表会。高齢者の趣味の作品展示が中心で、あどりぶの出展ブースは異彩を放ったが、代表の堤信和さん(49)=同市天竜区=の熱心な説明に来場者は聞き入った。同市浜北区の有野兵さん(80)は「40代の息子が同じゲームに熱中して不思議だったが、人と交流する趣味だったんだな」と納得した。
 堤さんは高校時代、好きだった小説の関連商品としてテーブルトークRPGを知った。出目の偶然に振り回されながら集まった人と喜んだり悔しがったりし、交流の輪が広がった。就職してからも興じ、地元で活動しようと2003年4月、同センターを拠点に同好会を設立した。
 メンバーは社会人が中心。最大10人程度に増えたが、それぞれの仕事の影響で減ることもあった。一方で「日々の生活がつらくても、このシナリオは攻略したい」と熱を持つ仲間もいた。活動の場を閉ざすまいと堤さんは例会を続け、今は5人ほどで月に2回集まっている。
 「年齢や立場が違っても、同じ場で同じ空気感を味わう魅力は衰えない」と堤さん。例会を継続して発表機会も設け、今後も普及に力を入れるつもりだ。
 <メモ>テーブルトークRPG パソコンなどの電子機器ではなく紙、鉛筆、さいころなどを使い、プレーヤー同士の会話とルールなどが書かれた「ルールブック」に沿って数人でシナリオを進めるロールプレーイングゲーム。1970年代に登場した。参加者は司会役のゲームマスターとプレーヤーキャラクターに分かれ、行動をさいころの出目などで決める。騎士と竜、産業スパイなどさまざまなテーマの世界で戦闘に勝利したり謎を解いたりする。

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