静岡人インタビュー「この人」 ろう者と聴者の理解促進を目指す「KIZUNA Deaf&Hearing」代表 和田典子さん

 耳が聞こえず手話を第1言語にする「ろう者」と聴者(健常者)をつなぐ「キズナ デフアンドヒアリング」を昨年9月に浜松市に設立した。2019年から市内在住。東京都出身。57歳。

和田典子さん
和田典子さん

 -手話との出会いは。
 「都内在住時に友人が手話を学び始めたのを機に、自分も講習会に通い始めた。手話は一つの言語という印象を持ち、率直に『面白い』と感じた。2003年に手話通訳士の資格を取得。その後、全国のろう者と金融機関や店舗などをテレビ電話の画面越しに結んで遠隔で手話通訳する企業に勤め、コミュニケーションをサポートした」
 -団体立ち上げの経緯は。
 「かつてろう者だけのキャンプの予約をした時に、相手先から大丈夫かと聞かれた経験があった。手話を使い目で見る生活が軸だが、過ごし方は聴者と変わらない。知らないがゆえに戸惑いが生まれる。ろう者側にも聴者の不思議はある。それなら手話、ろう文化を知る場をつくり、『そうだったんだ』と相互に感じてもらいたいと思った」
 -具体的な活動内容は。
 「手話は大きく、ろう者が使い日本語とは異なる独自の文法の言語『日本手話』と、日本語を手指で表した『日本語対応手話』がある。こうしたことも知られていない。2月6日から毎週月曜、舞阪協働センターで『日本手話おしゃべりサロン』をスタートする。聞こえない人の世界を知るお茶会のイメージ。浜松いわた信用金庫と連携して昨年11月開いたろう者対象の金融セミナーも継続できれば」
 -根底にある思いは。
 「福祉という目線より、一つの確立した文化と受け止めてほしい。共存を理想に固定概念を取り除いていけたら。インスタグラムでも積極的に発信したい」

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