リユース容器 ごみ減へ共有 持ち帰り客から回収→洗浄→再利用 袋井・8店で始動

 循環型社会への一歩として、袋井市で何度でも使えるリユース容器のシェアサービス「メグルー」が始まった。企画したのは社会課題の解決に取り組む同市の一般社団法人ペイフォワード静岡(鈴木功三代表)。同様の試みは全国で広がりつつあるが、静岡県では先進事例とされ、同法人は行政とともに持続可能な街づくりを推進する。

リユース容器のシェアリングサービスを開始した鈴木功三代表=1月上旬、袋井市内
リユース容器のシェアリングサービスを開始した鈴木功三代表=1月上旬、袋井市内

 1月上旬、鈴木代表が経営する「Honey!ハニー‼」など市内飲食店で事業がスタートした。持ち帰り商品などを入れるリユース容器は全店舗で共有。利用客は食べ終わったら容器を参加店に返却し、洗浄して繰り返し使う。これまで使い捨て容器で提供していた店は経費削減にもつながる。現在8軒で行われていて、参加店舗は随時募集する。
 新型コロナウイルスの流行以来、テイクアウトやデリバリーの需要が高まり、同時に関連ごみの排出量も増加傾向となっていた。鈴木代表が「事業主体として何かできることはないか」との思いからごみ削減に向けたアイデアを検討する中、神奈川県鎌倉市の企業が展開するメグルーにたどり着いた。
 容器の購入費や食器の回収に必要な人件費は、地域の課題解決に取り組む市民団体を支援する袋井市の「協働まちづくり事業」の補助金を活用した。食器の返却ボックスを市役所や一部のコミュニティセンターに設置するなど、市の後押しを受けて事業を拡大する。
 ただ、サービスの定着には「市民への周知が最重要課題」と語る鈴木代表。PRに力を注ぐほか、1年後をめどに近隣市町への普及も見据える。「大量消費時代からの変化の中で、この活動を当たり前の仕組みとして県内各地に広めたい。まず袋井を日本一ごみの少ない街にすることが目標」と力を込める。

 <メモ>袋井市によると、同市や森町を対象とする中遠クリーンセンターに年間で排出されるごみの量は毎年、処理量の90%を超えている。近い将来、限界に達することが懸念され、市は2030年度までに可燃ごみの排出量3割減を目指す「ふくろい5330(ごみさんまる)運動」を開始した。
 同市によるメグルーの活動支援もその一環で、事業を通じてリユースの機運醸成を図りたい考え。市ごみ減量推進課の担当者は「市民の意識をさらに高めることにもつながれば」と期待する。

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